2014.01.31
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プチ・モンスターティーチャー

東京学芸大学教職大学院 准教授 増田 謙太郎

今回のつれづれは「モンスターペアレント」ならぬ、「モンスターティーチャー」の話です。

 

モンスターティーチャーとは、いったいどんな教師のことをいうのでしょう?

 

・理科の授業で呼吸のメカニズムを生徒の首を絞めて説明した教師

・女子生徒の帰りを待ち伏せする、または無意味に家庭訪問に行く教師

・給食を残した児童に対し罰として素手で食べるように強要した教師

・生徒の成績表や学級日誌などをコンビニのゴミ箱に捨てる教師

・自分が出世するための勉強を優先し 授業を自習にする教師

 

なんていうような事例が実際にあるようです。

 

私たち同業者が優しい目でかばっても、このレベルまで来ると論外というような気がします。学校現場から、お引き取りいただきたいですね。

 

 

このレベルまでいかなくても、実は困った教師というのは、けっこういるものです。

 

このようなことをする教師はどうでしょうか?

 

 

・その日にあったことを保護者に電話する教師

 

 

えっ!そんなの教師として当たり前じゃん!って、思う方がたくさんいることでしょう。

教師の仕事をしていて、保護者に電話をかけなくて済むなんてことはまずない。

 

国民的アニメの「サザエさん」でも、カツオが何かやらかしたときに、担任の先生から電話がかかってくるという場面がありますね。

我が国においては、学校の先生から電話がかかってくることは、別に珍しいことでもなんでもない。

 

でも、この「保護者への電話」も、程度が過ぎると、ちょっと事態は変わってきます。

 

 

先日、他の学校の教師と話していた時に、こういう話題になりました。

 

「ウチの学校の若手の先生なんだけど、職員室ではずっと保護者に電話をかけまくってるんだよね。子供が学校でしたことを話しているみたいなんだけど。夜も遅くまで。あれってさ、もし我が家に(電話が)かかってきたら迷惑だよ~。」

 

なるほど。

かなり、「保護者に電話すること」に依存性が強い教師のようです。

 

そうですね。真面目な保護者であれば、担任の先生から電話がかかってきたら、どんな忙しくても電話には出るでしょう。

夕飯時でも、自分から話を切り上げるなんてこともできないでしょう。

 

また、先生から電話がかかってきたということは子供ならず家族にも伝わります。

こうなってくると、子供もドキドキですね。家庭の団欒なんかあったものじゃない。その後の家庭の空気は悪いものに・・・。

 

 

さて、この教師自身の問題として、もし心理的に「いろいろ非難されるかも」という思いが強くて、電話で先制攻撃に出ているのだとすれば、学校にイチャモンをつけてくるモンスターペアレントの事例とも似ていることになります。

 

または、悪気はないにしても教師の地位を利用して、話を最後まで聞いてもらえるという、ただ満足感を得たいためかもしれません。

こうなってくると、「女子生徒の帰りを待ち伏せする、または無意味に家庭訪問に行く教師」なんかのレベルと話が同じになってきませんか?

 

 

私の経験からしても、実際、こういうタイプの教師はいます!

それほど大きな実害はないにしても、プチ・モンスターティーチャーだなあと思います。

 

 

保護者に伝えなければならない事実は、電話でも連絡帳でも速やかに伝えることは大切です。

学校現場では「ケガをしてしまったとき」または「相手にケガを負わせてしまったとき」は、確実に伝えなければなりません。

 

ただ、保護者にむやみに事実を(たとえば、「今日○○君を叩きました。」)のみを伝えるのではなく、学校でどう対応したかを話すことが大事でしょう。

 

いずれにせよ、自分の言動によって、保護者が、または子供がどう巻き込まれるかという視点が必要です。

 

他者の視点に立って物事が考えられないと、親であれ、教師であれ、「モンスター」になってしまうのですね。

増田 謙太郎(ますだ けんたろう)

東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。

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