松の内は過ぎましたが、今年初めての投稿ですので。ごあいさつさせてください。
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回のつれづれ日誌は、私の「あいさつ」の失敗談からおつきあいください。
教員になって初めての年明け。
もう、勤務日でしたが、冬休み中でしたので、その日、私は休暇をとっていました。
でもやりたいことがあったので、10時ころのんびりと学校を訪れました。
キャップにジャンバー、ジーパンといういでたちで、
こんな新年早々、誰も学校にいないだろうと思いながら。
職員室のドアを開けると、教頭先生がいつものように、自分の席で仕事をしていました。
「あっ、あけましておめでとうござーいまーす。」
あいさつをした瞬間、教頭先生のギョッとした視線と、職員室にいた他の先生の声が同時に飛んできました。
「キャップをとれ! キャップを!!」
私は、言語的には正しい新年のあいさつをしたのです。
だけど、キャップをかぶったまま。
しかも、勤務時間中に。
しかも、フォーマルな職場で。
しかも、上司に。
非常識をたっぷり叱られました。
たとえ言葉的には正しいあいさつをしても、服装であったり、態度であったり、姿勢であったりがふさわしくないと、相手に与える印象が変わってきます。人は見た目が9割ですから。
あいさつにも、経験値が必要。
当時の私は社会の経験値も最低レベル。RPGゲーム、たとえばドラクエでいえば、「ぬののふく」を着ているくらいでしょうか。
「ぬののふく」は守備力が全くなく、モンスターから簡単にダメージを受けてしまいます。
ドラクエの世界では、経験値が上がれば、「はがねのよろい」や「まほうのよろい」などを守備力の高いアイテムを身に付けることができます。
これはドラクエだけの世界に限ったことではありません。私たちの社会でも守備力が大切です。
あいさつには、守備力。すなわち自分の身を守るという側面があると思います。
「ぬののふく」レベルのあいさつは、言葉だけのやりとり。
友達同士、家族同士なら通用するかもしれません。でも、社会の荒波を潜り抜けてきた教頭先生のようなモンスター(すみません、比喩です!)には、通用しません。
残念なことに、「先生があいさつできていない!」と保護者からお叱りを受けることも、学校では多々あります。
このレベルは、社会においては非常に守備力が低いと言わざるを得ません。
ちょっと経験値が上がり「はがねのよろい」を着られるくらいになると、少なくとも相手から文句を言われません。
失礼のないあいさつができるレベル。社会的な信用も失われず。
社会で生きていくには、このくらいの守備力は必要だと思います。
さらにその一歩上。「まほうのよろい」レベルとは?
相手を気持ちよくさせる魔法のようなあいさつです。
実は、相手が受けとった気持ちのよさは、自分にも跳ね返ってきます。
それが、ますます自分自身のモチベーションもつながってきます。
自分がしたあいさつで、自分自身の生命力も向上するのです。
これこそが、あいさつの本当の効果なのでしょう。
新年だから「あけましておめでとうございます」。
朝だから「おはようございます」。
帰るから「さようなら」。
学校ではあいさつをする場面がたくさんありますが、言葉だけのやりとりに留まっていないでしょうか?
子供も教員も。
増田 謙太郎(ますだ けんたろう)
東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。
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