先日、研修で警察の方の話を聞く機会がありました。
その人は、様々なトラブルを抱えた子ども達に接するカウンセラーです。
その中でとても印象的だった内容があります。
それは、問題を起こした子どもに対して「しない」約束ではなく、「する」約束をしていくということです。
通常、学校でも同様なのですが、何らかのトラブルを起こした子どもに対して、指導を行います。
そういった中で、友達に暴力をしてしまったのであれば、「もう暴力はしない」という約束をさせます。
掃除をさぼったのであれば、「もう掃除をさぼらない」という約束をさせます。
これらが、先ほど書いた「しない」約束です。
他のトラブルでも大概、同様の指導をします。
しかし、多くの場合、また同じようなトラブルを発生させてしまいます。
「何度同じことを言わせるんだーっ!」と教師は怒りだします。
そして、前回と同じような指導が始まります。
それでも、また同様なトラブルが発生し・・・。
結局、教師は、「あの子は家庭でトラブルを抱えているから・・・」「発達障害の疑いがあるから・・・」「親が悪いから・・・」などの言い訳のようなことを言い出すことになることが多いです。
こういったことから私が感じることは、同じトラブルを子どもに起こさせてしまうということは、教師の指導が適切でないということです。
同じようなトラブルが起こる場合、指導のまずさを教師は認識すべきです。
決して、子どもが悪いのではなく、教師の指導が悪いのです。
そのようなことにならないようにするために、トラブル後の指導の際に「する」約束をさせるのだそうです。
具体的には、暴力をしてしまった子どもに、「友だちに優しくする」という約束をさせます。
また、掃除をさぼった子どもには、「掃除をする」という約束をさせます。
そうすると、子どもが「友だちに優しくする」「掃除をする」たびに褒めることができるようになります。
褒めることで子どもは行動が変わっていきます。
この事は詳しく別の文章に書いています。
興味がある方は、ご覧ください。
この様に子どもがトラブルを起こした後の約束のさせ方次第で、ずいぶんと違いが生じてきます。
同じものでも見方を変えることで、随分違ったものに見えてきます。
教師や親の意識の持ち方次第で全く違ってきます。
是非やってみてください。

鈴木 邦明(すずき くにあき)
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。
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