富山県には「富山県児童生徒思考大会」という事業があります。
第57回を数える大会が、11月9日(土)に県内9会場で開催されました。
富山県教育会という団体が主催し、昭和32年に始まり現在に至っています。
「富山県児童生徒思考大会」については、次の紹介がHPにあります。
「学校教育でもっとも大切なものとされている児童生徒の思考力、
創造力を開発・伸長するねらいをもって、昭和32年に企画された
この事業は、(中略)いわゆる○×式のテストものがまかり通った
第2次大戦後、右か左かの二者択一で物事を判断し、スピードアップ
しようとした風潮の中にあって、人間に与えられた特権ともいえる
「考える」ということの大切さを強く意識し、じっくり考える機会を
子供たちに与えようと、設定されたものが、この大会である。」
(参考)
http://homepage3.nifty.com/toyamaken-kyouikukai/sikou.html
また、このサイトには、過去の問題例の一部ですが
参照できるようになっています。関心のある方はどうぞ。
さて、
タイトルの話しに戻ります。
皆さん、時間を少しばかりいただけるのであれば
挑戦してみませんか。
正確ではないのですが、次のような問題が今年出題されました。
「3という数字を10個使って、2013を作ってみてください。」
(解答例は文末)
似たような次の問題などは解いたことがある人はいませんか。
「3を4つ使って、1から10まで作ってみてください。」
たとえば、(3+3)÷(3+3)=1
3÷3+3÷3=2
(3+3+3)÷3=3ですよね。
(4から10もチャレンジをどうぞ)
このように四則計算を使い、かつ小学5年生から
中学3年生であっても思いつく計算式を考えてみてください。
10分ほど頭を悩ませると多くの方は解けるのではと思います。
実はこの問題から面白いことに気づきました。
学歴が高い人や数学の知識が豊富な人ほど解きにくいのでは。
もともと小学5年生から参加する大会ですから。
小学5年生の「知識」と「思考力」があれば答えられるはずです。
ですから平方根や累乗などの概念は使わなくても
解けるはずです。
もしかしたら、指数関数のlogを使ったり、三角関数まで
持ち出そうとした人はいないでしょうか。
3を10個使うという条件をどのように解釈したらよいのでしょうか。
3を一つひとつの数字で使うと考えた人がいませんか。
33や333や3333という数字を思いついたでしょうか。
さあ、次に2013という数字をどのように料理しましたか。
因数分解した方はいませんか。
これでは小学生には解けない方法になってしまいます。
2013という今年の年号を使ったのは洒落ていると思いませんか。
ヒントは2013=333×6+15などのように、
3に関係するある数字の和、または差で
表せないかと考えることです。
大卒の親がうんうん考えているそばで
中学生の子どもが、「やった、できた!」と
満面の笑顔で正解にたどり着いたメモを見せてくれました。
数学は畑違いですが、これは良い問題だなあと思いました。
なぜなら、私たち大人の頭が少々固くなっていることも
気づかせてくれるからです。
解いた後の「分かった」という小気味のよい快感があります。
何よりも、難しい公式や論理を全く使わなくても
解答を導くことができるからです。
私は、この「富山県児童生徒思考大会」が、「楽しみ」ながら
「思考力」「創造力」の伸張に貢献するとともに、
より多くの算数・数学ファンの裾野を広げ、
「数学」が「数楽」となることを願います。
私は、世の中に色々と難しい数学的な理論や公式があることは
分かります。でも中学3年生までに学習した内容を
駆使することで、大方の問題は処理し、解決できるのでは
ないでしょうか。
数学に限りませんが、中学までの学力は、基礎基本として
大変大切なものであると思います。
高校であっても、中学までいや小学校段階まで、立ち戻って
学び直しは必要ではないでしょうか。
どの発達段階であっても、児童生徒に、相応の学力をつけることが
教師に求められているのではないだろうかと思いを新たにしました。
解答例:333×(3+3)+(3+3+3+3+3)=2013
(追伸)中学3年までの知識で、「うーん」と唸らせるような英語の問題ご存じの方はおられませんか。
岩本 昌明(いわもと まさあき)
富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
視覚に病弱部門が併置された全国初の総合支援学校。北陸富山から四季折々にふれて、特別支援教育と英語教育を始め、身の回りに関わる雑感や思いを皆さんと共有できたらと願っています。
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