2013.11.07
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お父さん頑張って

石川県金沢市立三谷小学校 教諭 泊 和寿

お父さん頑張って

 

今日は、ある方から聞いたお話をベースに書きたい。

 

その方は、

「子どもの社会性を育てるのは、父親である。」

という。

「お父さんは、厳しい社会の中で働き、仕事をしている。

だから、社会の常識や良識、良さも難しさも、肌で感じて知っている。

そんなお父さんだからこそ、自分の子どもに本当の社会性を教えられる。」

というのだ。

 

男女共に働いているのだから、母親だって子どもに本当の社会性を教えられるよ。

と、言う人もいるだろう。

もちろんそうだ。

父親だからと言って、本当の社会性を教えられるとは限らない。

立派に子育てをしていらっしゃるお母さんを、私はたくさん見てきた。

しかし、現代の日本では、

父親の方がより厳しい社会の現実を知っている場合が多い。

男性は概ね女性に甘く、女性は男性に厳しい。

だから、社会の厳しさを教われるのは、お父さんの方がむいているのだそうだ。

よって、子どもは父親に、社会の厳しさと他人への感謝と寛容さを学ぶという。

お父さん、お母さんを問わず、それを教えられれば問題ないと思っている。

 

2.数々の事件にお父さん有り

 

翻って、近年起こっている悲しく残念な事件の数々を見るにつけ、

お父さんは、どう関わっていたのだろうかと考えてしまう事件が多い。

ストーカー事件や詐欺事件等に見られるように、

自分の事は棚に上げて、人のせいにすることが発端の事件の多発。

自分のためなら、人はどうなってもいいという思考には、社会性が大きく欠落している。

自分の犯した罪に反省すらせず、すぐにリセットした気分で再犯に及ぶ。

日本の義務教育を卒業した子どもの多くが、このような事件を起こさないという現実を考えると、

これは、家庭教育に大きな要因の一つがあるのではないか、と推察できる。

「自己責任」「感謝」「寛容さ」を教えるお父さん、いや、大人の姿はあったのかと問いたい。

繰り返すが、お父さんでなく、お母さんでもOKなのだが…。

 

3.お父さんがんばって!

 

現代は、一昔前ならば、とうてい起きなかったような事件が多く起こっている。

ある偉人の話だが、

父は、幼くして亡くなっていた。

そこで、お母さんは、父親代わりとなって

「あなたが人様に迷惑をかけるようなことがあれば、私はあなたと一緒に命を絶つつもりです。」

と言って育てたそうである。

また、成人して旅立つ息子に、

「人の役に立つ仕事ができるまで、家に戻って来ることは許しません。」

と言ったそうだ。

子は、母の心を受け、人を大切にし、志を共にする仲間を増やし、社会悪から多くの人を助け、人々の幸せを守った人生を生きた。

「亡き父の為にも、人の役に立つ子に育てる。」

という、母が、見事に父親の役割も務めたのだと思う。

時代は違うが、現代の日本社会が見習うべき点は多い。

 

お父さん、どうか、子育てに参画して、頑張ってほしい。

 

「自己責任」「感謝」「寛容」を教えられるのは、社会の荒波で、社会のために働くお父さんの力が大きいのだ。

 お父さん頑張って

 

泊 和寿(とまり かずひさ)

石川県金沢市立三谷小学校 教諭
私は、子どもたちが目を輝かせて生き生きと学ぶ姿が大好きです。子どもが本気になって学ぶと、グワッと教師を越えていきます。今年も、そんな感動をめざしたいと思います。

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