秋は、運動会のシーズンです。
体育の日の前後には、学校は勿論、様々な組織の運動会が開催されます。
また、学校によっては、修学旅行、学習発表会などの行事があるところもあるようです。
私の勤務している学校は、10月の第一週に2つの運動会がありました。
まず火曜日に市の合同運動会(市内の6年生が集まるもの)、その4日後の土曜日に学校の運動会がありました。
秋のこの時期には、その他にも、図工であったり、国語であったり、様々な応募物の締め切りなどがあります。
特に6年生の担任であることもあり、本当に慌ただしい日々です。
今回は、そういった慌ただしい時期に私が学級担任として心がけていることを書きたいと思います。
まず、一つ目は、「状況を伝える」ことです。
先日、私の知り合いの学校では、運動会の前日に、六年生が組体操の練習中、高い所から落ち、頭を打ち、救急車で搬送されたそうです。
その後の運動会の準備中に、他の子どもが、怪我で十数針縫うことになってしまったそうです。
忙しかったり、慌ただしかったりすると、子どもにトラブルが発生しやすくなります。
ケンカなどのトラブルもそうですが、怪我も多くなります。
運動会などが近づいてくると、子どもは自然と興奮し出します。
応援の練習などで興奮をしますし、競技や演技の練習でも興奮します。
学級担任は、こういった状態の時に、怪我をさせない工夫が必要です。
子ども達にしっかりと現状(興奮しやすく、怪我をしやすい)を伝えることが大事になります。
怪我などのトラブルがあると、全てのものが台無しになってしまいます。
運動会などの行事では、子どもに良い成長が期待できます。
しかし、それは、怪我などがない状況であればこそです。
教室で落ち着いている時に、しっかりとそのことを話すことが大事です。
そうすることで、子どもが、自分の行動をコントロールできる場合が多くなります
二つ目は、「何かを諦める」ということです。
特別なもの(運動会など)があると、日常の様々なものに加えて、しなければならないことが多くなります。
ある程度までは無理ができますが、限界を超えると、子どもも教師も調子を崩してしまいます。
そういったことにならないために、普段、取り組んでいることのうち、いくつかを諦めます。
具体的には、私の場合は、「ふりかえりの作文」を諦めます。
普段、私は文を書く力を育てたいという思いから、ほぼ毎日、ふりかえりの作文(日記)を書いています。
家での宿題ではなく、学校の最後の時間(6時間目の最後の5分間など)を使って取り組むことが多いです。
しかし、この時期は、放課後に合同運動会に向けての練習をしていることなどもあり、普段通りには行うことができないことが多いです。
無理をして、作文をやらせようとすると、負担が大きくなってしまいます。
それなので、この時期、作文は諦めます。
ある程度の取り組みで良いと自分の中で思うようにしています。
この様にある部分の負担を少しだけ減らすことで、随分と精神的に楽になります。
肉体的にも同様です。
そして、全体のバランスが保てるようになります。
三つ目は、「ユーモア」です。
昔から「笑う門には福来る」と言われています。
笑いのある空間には、少しだけゆとりができます。
勿論、誰かを馬鹿にするような笑いや失敗を茶化すような笑いでないことは当たり前です。
例えば、算数の授業にクラスの子どもを登場させてしまいます。
通常、教科書では「ゆうじさん」や「ゆみこさん」などが出てきて、問題が設定されています。
そこにクラスに実際にいる人を登場させてしまいます。
今、私のクラスでは、算数で「速さ」について学んでいます。
先日の授業では、100m世界記録保持者のボルトとクラスで足の速い女の子を登場させました。
パワーポイントで資料を作り、ボルトが良くやる指をさすポーズでその女の子を指さし、「○○さんには負けないぞ!」と言わせてしまいました。
実際に授業でテレビに映して見せた所、大爆笑でした。
こんな他愛の無いことが、心に余裕を作ります。
ほんのちょっとでもいいのだと思います。
担任が、こういったことを考えることが大事なのだと思います。
最後は、「謝ること」です。
もともとずぼらな私は、予定を間違えてしまったり、持ち物の連絡を忘れてしまったりということがよくあります。
通常の日々でさえ、そういったことがあるのですから、ばたばたと忙しい時期になるとさらにそういったことが増えてしまいます。
できる限りそういったことがないようには気を付けているのですが・・・。
そういったことが問題になった時、すぐに子ども達に「謝る」ようにしています。
なぜなら私に問題があることだからです。
聞くところによると、担任がいつも偉そうにしているクラスもあるようです。
そういった担任は、自分の非に対しても、子どもに対して謝罪などはしないのかもしれません。
教師は、別に偉いわけではありませんし、立派なわけではないと私は思っています。
だから、子どもに対して、偉そうな、強そうな態度をとるのは違っているのだと思っています。
担任が自分の非を認め、きちんと詫びることができると子どもの行動も変わってきます。
子ども達も謝ることが当たり前のようにできるようになります。
そうすると大きなトラブルが起こりにくくなります。
小さなトラブルが発生しても、謝罪をすることで、大事にならずに収まることが多いです。
是非、子どもの前で詫びてみてください。
クラスの雰囲気が少し変わってきますよ。
慌ただしい時期に私が心がけていることを色々と書いてきました。
書いたことが、忙しさで心に余裕がなくなっている先生、特に若い先生にとって、役立つものであるとよいと思っています。
運動会やその他の活動が、子どもにとって、そして教師にとって、良いものとなることを願っています。

鈴木 邦明(すずき くにあき)
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。
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