2013.09.30
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教育実習 一生の宝の思い出

石川県金沢市立三谷小学校 教諭 泊 和寿

   

 ※ GIFT (Mr.Children)を聴きながら読まれると、より楽しく読むことができます。

 

教育実習
それは
一生の宝の思い出である

 

9月、本校では教育実習の月。
子どもにとっては、毎年の新しい出会い。
実習生にとっては、教師としての自分と、人生初の出会いとなる1か月間になる。
実習生を体育館に迎えた出会いの会で、そう実習生に伝えた。
彼らにとって、必ずそうしてみせると心に誓いながら。

 

 

1.初めての教育実習だからこそ

 

 初めての教育実習だからこそ、本気でやる。

 初めての教育実習だからこそ、全力で挑む。

 初めての教育実習だからこそ、真心を尽くす。

 初めての教育実習に、力いっぱい取り組んで、

自分の教師としての原点をつくることができたならば、

教育実習という原点は、自分の心に一生輝いて、

必ず、自分の不屈の力となり、

子ども、保護者、同僚、周りの方々、社会、世界のためにも、

明るい未来を拓く

希望の力となる

 

赤ちゃんは、

生まれて初めて出会ったお母さんから人への愛を教わり、

その愛に育まれながら、

人生の歩み方を教わる。

同じく、

教育実習生も、

初めて出会った子どもや教員から、

教育現場の歩み方を教わるのではないか。

 

だから、初めての教育実習ではあるが、

どうしたら、子どもとっても、実習生にとっても実り多き教育実習になるのか、

まだまだ足らぬ自分ではあるけれども、

自分がまずは真剣に教育実習に取り組むことにしている。

 

 

2.教育実習生の心得(実習生へ)

 

以下は、教育実習に際して、実習生にもっていてほしい心得だ。

しかし、プリントにして実習生に渡したところで、10項目も覚えられるわけがない。

暗唱させれば意識は定着するが、知識として知っているだけでは、何の価値も生まない。

私は、以下の意識をもって、実習生と接し話し、機をとらえて指導することで実感をさせるようにしていた。

私見であり、他の指導教官の方々に価値観を押し付けるものではない。

 

・(1)    教育実習は、自分の人生を決定する最も大きな節目の一つであると心得ること。

・(2)    社会人として、良識を大切に行動すること。

・(3)    自分も、周りの人も、周りの事物全てを慈しみ大切にすること。

・(4)    全てのことに感謝と喜びをもって過ごすこと。

・(5)    学生ではあるが、教壇に立って「先生」と呼ばれる以上、その責任と自覚を忘れずに取り組むこと。

・(6)    何事も自分らしく全力で取り組んで、広く深い教育現場というものを全身で感じ、自分という小さな世界の殻を必ず破り、人生の宝となる原点をつかむべきこと。

・(7)    子どもから学ぶ姿勢を、常に忘れないこと。

・(8)    周囲は自分の鏡であると自覚すること。

・(9)    現状維持は、後退・減退・崩壊につながるから、常に願いをもって、工夫と努力をするべきこと。

・(10)  幸運にして、子どもと共に学ぶ醍醐味を知ったならば、より多くの人に伝え、共感の輪を広げること。

 

 

3.教育実習の効果的な進め方(実習担当として)

 

 1か月間を振り返って、自分が意識をもって取り組んでいたことを書き出しておく。

 中には、こんな意識をもっと大切にしたいとの願っている項目もある。

 

・(1)  心身ともに健康で、人生に喜びと感謝を感じていること。

・(2)  実習生と共に子どもを育てることを通して、子どもも育ち、実習生も育つこと。

・(3)  実習期間を有効に使って、段階的に、課題意識をもたせて指導していくこと。

・(4)  授業や生徒指導等、良いも悪いも自分の背中を見せて学ばせること。

・(5)  教育観、授業観、指導観などについて、実習生と語り、問題提起して考えさせ、哲学させること。

・(6)  実習生の心身の健康に気を配ること。

・(7)  実習生の授業は、研究授業以外は、発問や板書や指導等、その場で止めて指導すること。

・(8)  実習生の研究授業の本時中は、非常事態でもない限り見守り、一切の手出し口出しはしないこと。

・(9)  実習生が複数いる場合は、互いに切磋琢磨する機会を増やすこと。

(10)「知識理解」を確かにすることよりも「技能」を身につけさせること、それよりも「活用」する面白さを味わわせること、しかし最重要は一生懸命に生きる人生の素晴らしさを実感させること。

(11)影となって、アシストをすることを旨とし、実習生にゴールを決めさせることを楽しむこと。

(12)子どもも実習生も、共に自分の背中を見ていることを忘れないこと。

 

 

4.子どもの日記「あゆみ」より

 

 1か月間の教育実習の終了4日前の最後の授業の日と、翌日の遠足の日記「あゆみ」を紹介します。

 

<最後>

今日は、教生先生との最後の授業でした。この1か月間、教生先生は、みんな最初に来たときよりも、話し方や表現のし方が上手くなってきて、よりわかりやすい授業になっています。なので、ぼくもこの1カ月で変わりたいと思い、発言を積極的にしたり、見通しもだいぶもてるようになりました。教生先生が大学に行っても成長できると思うので、一緒に成長していけたらいいです。

 

<4人の笑顔>

今日は、教生先生の5年2組での最後の授業でした。よく考えてみれば、4人の先生もがんばって自分たちの授業をしてくれました。大きな声でわかりやすく、こうするや問題の文を書いてくれたり、次の日の準備をたくさんしてくれたり、今日はこのことをしたから、大きな紙に書いてくれたり、笑顔をたくさん見つけたのでよかったなぁと思います。

 

 <教生先生の最後の授業>

 最後の授業の日がやってきた。とても一生懸命に教生先生は授業を続けていた。でも、発表する事はできなかった。顔を見て話を聞くことはできた。○○はきらいだったけど、今日は好きになったように○○ができた。明日は待ちに待った遠足。確実に晴れるとうれしいです。とても楽しみです。

 

<もう最後かぁ~(泣)>

もう、今日で教生先生との授業が終わりです。なんか、すごく短く感じました。もっと、最初から真面目に授業を受けていれば良かったと後悔しています。なので、今日の最後の授業ぐらいばんかいして、真面目に取り組もうと決め、積極的に参加しました。

  昼休みは、A先生&B先生&C先生&あと何人かの子で絵を描いて遊べたのでと~っても楽しかったです。私は、教生先生とあまり遊べていなかったので、今日はこの1か月間で1番HAPPYな日でした!!もう最後で本当にさみしいです。明日の遠足は、絶対にHAPPYな日にしてやるっ!

 

 <教生先生との遠足>

  教生先生と遠足で奥卯辰山健民公園に行きました。私はなぜか知らないけど、ちっとも長いとは思いませんでした。きっと、教生先生の素敵なパワーに助けてもらったからだと思います。

  鬼ごっこを一緒に遊んだ時はとても楽しかったです。A先生は走るのが速かったです。B先生はへとへとだったけどそれでも頑張って走っていた姿がすごく素敵でした。今日は、いい思い出が作れてよかったです。

 

 教生先生と共に成長している子どもの様子がうかがえます。
 どの子も、教育実習を通して、学び、成長しています。
 さすがです!

 

 

5.号泣のお別れ会

 

 冒頭一番右の写真は、お別れ会の様子です。

 一生懸命に準備したので、喧嘩もしたけれど、おかげで心に残る会になりました。

 教生先生と一緒にゲームを楽しみました。

お手紙の交換もしました。

教生先生の出し物では、仮装して、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」を4人で踊ってくれました。

とても楽しくて、心の通い合う、素敵な会でした。

 あまりに、時間を忘れるくらいに楽しかったので、プログラム最後の先生のお話しでは、半分以上の子が思い溢れて号泣しました。

 出会いあれば別れあり。

 一生懸命に一緒に過ごしたからこその出来事でした。

  

 本校の子どもは、毎年、自分のために一生懸命になってくれる実習生に出会えます。

 人間として、とっても大切な姿に触れ、一緒に学ぶことができます。

 一生懸命に人のために努力する若者に直接出会います。

 本校の子どもは、一生輝く思い出を毎年つくります。

 

 本校の子どもは、最高の幸せ者です!

 

 実習の様子と実習生の踊りは、プロモーション・ムービーにしました。

 後日、実習生へプレゼントしようと思っています。

 ここには書きましたが、実習生には内緒にしています。(笑)

 涙なしには見られない、感動作をお見せできないのが、とっても残念です!(>_<)

 もしも、11月22,23日に予定している本校の研究発表会に来てくださって、 

 「見せて欲しい。」

 と、私に言ってくだされば、お見せいたします! (^-^)

 詳しくは、下の本校HPよりどうぞ。

 http://partner.ed.kanazawa-u.ac.jp/fusho/

 

6.成長と反省は反比例

 

 教員になってこれまでに、何人もの実習生と出会いました。

例外なく、どの実習生からも貴重な学びをいただいています。

面白い事に、教育実習を通して、なんと、私も明らかに成長しています。

毎回、確実に、です。

 反省はより深く、改善はより厳しくなっていきます。

 成長しているはずなのに、より反省するようになるのは不思議です。

 ひょっとしたら、成長と反省の度合いは、反比例の関係なのかもしれません。

まだまだ、至らない自分だから、

来年も、実習生と、子どもと、共に、心を尽くすのみ。

 

 

7.最後の問い

 

「どうだい、一生の宝の思い出はつかめたかな?」

そう聞いたら、

実習生は、目を輝かせて、力強くうなずいた。

 

 実習は 心輝く 命の軌跡

 

 実習生のみなさん、ありがとう!
 そして ご苦労様でした!

 

 

泊 和寿(とまり かずひさ)

石川県金沢市立三谷小学校 教諭
私は、子どもたちが目を輝かせて生き生きと学ぶ姿が大好きです。子どもが本気になって学ぶと、グワッと教師を越えていきます。今年も、そんな感動をめざしたいと思います。

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