たとえば、不登校、いじめ、問題行動・・・。
これらの現代的な教育ニーズ。
私たち教師は、その行動があらわれることによって、それに気づく。
その行動がなくなっていくことを目指す。
あるいは、それに代わる望ましい行動を増やしていくことを目指す。
理論的には「学校に行く」という望ましい行動が増えれば、「不登校」はなくなっていくはず。
そのために、子どもが何を考えているか。何を求めているか?
保護者は、何を考えているか?
私たち教師は、常に相手の気持ちを考えなければならない。
逆にいえば、相手の気持ちを考えられるかどうかが、教師にとっての生命線。
相手の気持ちになって考えること、とは言うは易し。
相手の気持ちになって考えること、それは表面に出てこない部分を理解すること。
先日読んだ、現代詩の歌人である渡邊十絲子さんの本に、こう書いてありました。
「詩には、伝えたい内容があらかじめあってそれを表現するものではなくて、表現が先にあって結果的になにごとかが伝わるものが多い。」
「この詩で作者が伝えたかったことは何か?」は、初めからないってこと!?
詩的な表現を追求したり、言葉を洗練していたりしていく中で、結果、「伝えたかったこと」が出てくるということですね。
不登校、いじめ、問題行動・・・これらも表現の形態ととらえるとどうでしょうか?
行動、すなわち表現が先にあって、結果的になにごとかが伝わっている。
詩の理解と、相手の気持ちを理解することって似ているようです。
詩だけでなく、小説や歴史物なんかも、人間の心のひだの動きなどを理解するのに役立つのかも。
今年は猛暑でしたが、少し涼しくなってきた今日この頃。
そろそろ読書の秋ですね。
仕事熱心な先生方、たまには、教育書から離れてみましょうか(笑)
参考文献:渡邊十絲子『今を生きるための現代詩』講談社 2013年
増田 謙太郎(ますだ けんたろう)
東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。
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