2013.07.23
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酷暑と教室のエアコン

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

 皆様、お元気でしょうか? そろそろ夏休みが始まる時期です。忙しい一学期、そして学期末だったことだと思います。お疲れ様でした。

 今回は、酷暑と教室のエアコンについて書きたいと思います。私の勤務校は、埼玉県北部にあります。現在の最高気温40.9℃を記録した熊谷市のそばです。気温の記録は、気象庁の正式な装置であるアメダスがある所のものが公表されます。それなので、このあたりですと、埼玉県熊谷市、群馬県館林市などがニュースなどでよく使われます。館林は先日、39.5℃を記録していました。

 私の勤務校は、昨年度にエアコンの設置工事があり、今年度から使えるようになりました。やっとこの時期にある程度、まともな環境で学習ができるようになりました。昨年までは、教室内の温度が35℃を超えているようなことは、よくありました。気温が35℃を超えていて、教室には30人程度の子どもが居ます。いくら窓を開けても、あまり意味がなかったです。そのような状況では、いくらがんばっても、質の高い教育は難しいのではと改めて思います。

  ところで、学校にエアコンを設置するには、議会などでコストとの兼ね合いが議論されます。「掛かったコストに見合うような効果があるか」ということです。近年、学校の現場でも、数値に表し評価することが求められます。しかし、このエアコンに関しても、設置のコスト、利用のコストと成果との関係を示すのはとても難しいことだと感じます。妥当かどうなのかは判断がつきません。

 新聞で、熱中症の患者が出た小学校の記事がありました。その学校では、教室にエアコンがあるのに、使っておらず、児童10人が緊急搬送されたそうです。そのクラスは、少人数授業というやり方で、クラスを2つに分け、授業を行っていたそうです。片方の教室には、エアコンが付いていなかったので、公平性を確保するために、両方の教室共、エアコンを使っていなかったそうです。その結果、10人が緊急搬送です。症状は比較的軽く、皆、その日のうちに自宅に帰ったそうです。

 教員でない人が、この記事を読んだら、何をやっているのだと呆れてしまうかもしれません。私も半分位は、呆れてしまうのですが、半分位は、担任がやったことに同情をします。何故なら、担任は、教室における公平性に敏感にならないと、うまい学級経営は、できないからです。子どもの「ずるい」という言葉には、非常に気を使います。そうしないと、不公平だと思われ、子どもと良好な関係が、保てなくなる場合があるからです。

 今回の件については、少人数授業にせず、一つの教室に全員を集め、エアコンをきかせ、教師が二人で教えるというTT(team teaching)やり方にするのが、良かったのでしょう。きっと、学期末で、TTの時間を確保しなければならなかったというような事情もあったのでしょう。色々なことを考えさせられる一件でした。 まだまだ夏は始まったばかりです。皆様、無理せず、身体を大切になさってください。

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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