2013.07.19
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みんなであそぼう大成功!

福島県立あぶくま養護学校 教諭 渡部 起史

 

 皆さんの学校でも様々なPTA活動が行われていると思いますが、その中でもレクリエーション行事はどのような形で催されているでしょうか?運動会、音楽や映画の鑑賞活動、親子での調理や制作など、各校様々な形式でレクリエーションが楽しまれていると思います。

 

 今回は、あぶくま養護学校のPTAレクリエーション行事「みんなであそぼう」のご紹介です。「みんなであそぼう」は、PTA主催の休日学校開放事業としてスタートし、今年で11回目を迎えました。学校内外からお呼びした出演者によるコンサートや、PTA役員が腕によりをかけて準備した模擬店、あそびの広場など、活動が盛りだくさんの楽しいイベントです。例年7月第1週の土曜日に開催されており、おおよそ2ヶ月前からPTA役員会で話し合いを重ねて準備を進めています。 

 

 今年度の「みんなであそぼう」は、新たな試みから始まりました。本校の教育活動後援会の役員を通じて県内の露店商協会の方々を紹介していただき、ボランティアで参加していただけることになったのです。イベント会場で、たこ焼きやかき氷などの露店を15店舗出店していただき、売り上げも本校PTAに寄付していただけるというお申し出でした。児童生徒の中には、地域のお祭りに参加して露店を楽しんでみたいという希望を持っているものの、人混みが苦手などの理由で叶わなかった子もたくさんいました。PTA一同ありがたくこの話をお受けし、当日はお祭りのような雰囲気でイベントが実施できるように、全体のコンセプトを「祭り」にしようと決まりました。

 

 コンサートも、「祭り」をテーマに準備が進みました。役員の奔走で、郡山市の片平公民館で活動している「やまびこ太鼓」に出演を依頼することができました。やまびこ太鼓には本校の生徒や卒業生が多数在籍し、迫力のある太鼓演奏を披露しています。今まで校内で演奏を行うことはなかったので、普段の活動の様子を多くの方に知ってもらうよい機会となりました。

 

 あそびの広場には、PTAの役員が手作りで準備したうちわ作りの活動を設けました。真っ白なうちわにステンシルで模様をつけていく制作活動で、このイベントでは恒例になっています。毎年会場には作りたてのオリジナルうちわを片手に、上機嫌で行き交う子どもたちの姿が見られます。その他にも、はっぴを着て写真を撮影するコーナーには、PTA役員手作りのおみこしが準備されました。一見すると本物のようで、役員が準備する制作物の質の高さにはいつも驚かされます。

 

 地域の福祉作業所等にも開催協力を依頼し、郡山市周辺の8カ所の作業所にも出店していただき、製品の販売を行ってもらいました。食品が中心の販売で、各作業所の個性あふれる出品物に、販売コーナーは大いに盛り上がります。今年から、震災で浪江から避難し二本松で事業を再開したアクセスホーム桜さんにも参加していただき、おいしいラスクを販売していただくことになりました。

 

 イベント当日は真夏のような天気で、まさに夏祭りという雰囲気で開催することができました。やまびこ太鼓の迫力満点の演奏でスタートし、露店商協会のコーナーもかき氷や焼きそばを中心に長蛇の列が続きました。あそびの広場や作業所製品販売コーナーにもたくさんの人が押し寄せ、PTA役員の皆さんが汗だくになりながらお客さんに対応していました。当日は、同窓生・親の会の総会も同会場内で行われており、本校の卒業生が多数来校してくれました。小学部の小さい子たちから成人の卒業生まで、まさに本校をあげてのイベントとなり、参加人数は500名を越えて過去最高となりました。会場で集めたアンケート用紙には「初めて露店を体験して、お祭りの雰囲気を満喫することができました!」「太鼓の演奏最高でした。楽しかったです。」など、喜びの言葉をたくさん寄せていただきました。大成功で終えることができ、係としても達成感でいっぱいでした。

 

 「みんなであそぼう」は、PTAの会員がただ集まってレクリエーションを行うのではなく、校外の方々、地域の方々のご協力を得ながら、実施しているのが最大の特徴であり、誇るべき点であると私は考えています。校外のいろいろな方にお世話になることで、本校の様子を知っていただき、子どもたちと地域とを繋ぐ橋渡しになるように意図的に仕掛けている部分もあります。逆に、子どもたちがこのイベントに参加することで、地域を知り、職業や余暇を知り、人とのつながりを感じていくことができれば、この上ありません。

 

 これらの活動の陰には、細部にわたって心を砕いて手伝ってくださる、教職員ボランティア、学生ボランティア、分校や地域の公民館の方々、協賛企業の方々のご尽力があります。PTA一同みなさまへの感謝の気持ちを忘れずに、これからも子どもたちが心ゆくまで楽しむことができるレクリエーション活動を続けていきたいと思っています。来年の七夕にも、子どもたちの歓声が校舎一杯にあふれていますように!

渡部 起史(わたなべ たつし)

福島県立あぶくま養護学校 教諭
東北最大規模の福島県立あぶくま養護学校に勤務し、総務部を担当しています。特別支援学校における学習環境の整備やPTA活動の役割など、様々な話題を提供していきます。

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