今回は給食前後の指導の様子から。
給食前の手洗いに「あわあわ手洗いの歌」(花王ビオレu)の動画を使い始めました。以前担当していた学級でも使用していたことがあるものですが、今年度は違う指導の方法を継続していたので、使用していませんでした。動画をiPadに入れて、流しの前に立てて使用しています。
使い始めた理由は、給食後の歯磨きにありました。あるお子さんの歯磨き指導に、お母さんから教えていただいたアプリ「ニャン!とはみがき」を使用するようにしました。ご家庭で使用して少しずつ成果を上げているとのことで教えていただいたので、学校と連携して、歯磨き指導を行った方が効果が上がるだろうとの判断からでした。このお子さん対象に1対1での指導を始めたところ、他の子どもたちも次々に集まってきました。何なに?という雰囲気で画面に食い入りながら歯磨きを始めました。今までは教員が「歯磨きするよー」なんて声かけもしながら歯磨き指導をしていたのですが、今は自分たちで椅子を並べて、時には友だちが準備できるのを待ったりしながら二人、三人で一緒に歯磨きをしています。特に驚いたのが、その中の1人の子です。歯磨きがあまり好きではなく、自分から積極的に取り組むのが苦手なお子さんでしたが、この取り組みを始めてからはすっかり歯磨きの中心人物になりました。友達に自分から声をかけたり、時には磨くところを教えてあげたりと。その様子を見ていて、担任と私で彼を「歯磨き先生」に任命しました。いまは「歯磨き先生、お願いね」の一言で、みんなで歯磨きができるまでになりました。もちろん、技術的 に課題のある箇所もありますので、そこは教員がサポートしながら進めていますが、子どもたち同士の関わりも生んだアプリの一つになりました。そして、この「歯磨き先生」になった子が、動画と音楽に乗りながら行動することが好きなのでは?と確認することができました。そこで、「あわあわ手洗いの歌」につながるのです。
いままでは手洗いも積極的に自ら行うお子さんではありませんでした。こちらが促し促しながら手洗いを行うことも多々ありました。これをどうにかして自立させたいと考えていましたので、歯磨きでの出来事を参考に、同じパターンで手洗いを組み替えました。歯磨きでの指導と同じように、他の友達から試みました。友達が取り組む様子をしっかり見せてから本人に軽く促していくという方法です。
いま少しずつ自分で手洗いも取り組み始めているところです。彼が「手洗い先生」に任命される日もそう遠くはなさそうです。
日常的にタブレットに触れているお子さんですので、準備や片付けも含めて自立的にできることを目指していこうと考えています。
郡司 竜平(ぐんじ りゅうへい)
北海道札幌養護学校 教諭
小学校支援級、通常級と担当させていただき、現在は札幌養護学校小学部にいます。ここでは、私が取り組んでいる特別支援教育におけるICTの活用について具体例を交えながらご紹介していけたらと考えています。
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