2013.07.04
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

充実した遠足・宿泊体験学習にするために

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

先日、子ども達と一緒に修学旅行に行ってきました。

一泊二日の旅でした。

 

小学校では、遠足や宿泊体験学習などの行事があります。

そういった行事は、クラスがうまくいっている時は更にクラスが良くなりますし、うまくいっていない時には、いくつも問題が起こり、クラスが更に悪い雰囲気になってしまいます。

今回は、そんな行事についてのことを書きたいと思います。

 

実は、私が初任の年(18年前)、初めて持ったクラスでの遠足は、最悪でした。

途中で、子ども同士がけんかをし、歩いて逃げ出してしまったのです。

帰りの電車に乗ろうとした時に、私はそのことに気づきました。

警察に捜索願を出す寸前までいってしまいました。

苦い思い出です。

 

今回の修学旅行では、大きなトラブルも起こらず、良い旅になりました。

私が今までの経験の中で先輩方に教えてもらったり、自分で考えたりしたコツを紹介します。

 

まずは、「バス」についてです。

 

遠足などは、多くの場合、バスに乗って行きます。

課題となるのが、「バス酔い」です。

バス酔いは、気持ちが大きく影響を与えるようです。

私は、朝、バスの運転手の紹介とあいさつの時に次の様に話します。

「今回、先生が特別にお願いして、運転がとても上手な運転手に来てもらっています。

 なんと、今日の○○運転手は、『日本バス酔いしない運転選手権第一位』だったそうです。

 普段、乗り物酔いしやすい人も安心してください。

 ただし、これから、みんなで「お願いします」のあいさつをしますが、その挨拶次第では、運転の仕方が変わってきてしまいます。

 それでは、先生の声の後に続いてあいさつをしましょう。・・・」

といった具合です。

しっかりとした挨拶もできますし、子どもを安心させることもできます。

今回の修学旅行では、長くバスに乗り、山道も通ったのですが、無事、一人も体調を崩すことなく終えることができました。

少しだけ冗談ぽく上に書いたようなことを話すと子どもは、安心します。

簡単なことです。

 

次は、荷物の整理についてです。

 

宿泊体験学習では、数人で一つの部屋に泊まることが多いです。

荷物がごちゃごちゃになってしまい、困ってしまうことがあります。

出発するという時になって、誰のものだか分らないものがいくつも出てきたりします。

そういったことを避けるためには、それぞれの荷物の間に空間を作ります。

和室を想定して説明します。

和室では、通常、奥のスペースなどにメンバー全員の荷物がまとめて置かれます。

その状態では、数人分の大きなカバンやその他のもの(タオルや靴下など)がごちゃごちゃになって置かれています。

何人もの荷物が混ざり合ってしまっていることで、所有者がはっきりしないものが出てしまいます。

そこで、片付けの際にそれぞれの荷物を置く場所に少し工夫をします。

もし4人ならば、部屋の四隅にそれぞれに荷物を持って行かせてから、整理をさせます。

それぞれの荷物の間に空間ができると中途半端な落としものがなくなります。

自分のものではないものがあれば「これだれの?」ということになります。

各自の荷物がまとまった状態で置かれていると、どれが誰のものなのかがはっきりせず、曖昧なままになってしまいます。

片付ける際に、大きな荷物を少し動かすということだけで、簡単に荷物が片付くようになります。

 

最後は、「夜に寝ること」についてです。

 

子どもたちは、林間学校や修学旅行などで泊まりに行くと、異常に興奮します。

夜に寝られなくなり、はしゃぎまわったりすることもあります。

ある程度は、よいのですが、ある程度を過ぎるようでは困ってしまいます。

そこで、夜、ある頃合いを見計らって、子どもに次のように伝えます。

 

「先生の経験からすると、こういった泊まりの時に、夜に寝なかった子どもは次の日に大体次の3パターンのようになることが多い。

(1)鼻血 (2)吐く (3)腹痛 

鼻血を出すと、記念写真の時に鼻にティッシュを入れたまま写真を撮ることになってしまうかもしれない。

もし自分が吐いてしまったら、ズボンや洋服が汚れるし、他の人が吐いたものが自分にかかってしまうかもしれない。

また、お腹がとても痛いのにバスで渋滞にはまっていて、トイレにも行かれないような状況になってしまうかもしれない。

友達と一緒でうれしい気持ちは、わかるけれど、どの状態でも苦しいと思うので、ほどほどで寝ておいた方がいいと思うよ。」 

 

このように伝えると多くの子どもは少し不安になってしまいます。

大声で叱るようなこともできますが、それよりも事実(上で書いたようなこと)を伝えることの方が効果があるように思います。

子どもをある程度納得をさせた上で行動させると子どもの動きが違ってきます。

これは、宿泊体験学習での夜のことについても同様です。

この様にきちんと説明をしていくことで、ある程度、常識的な範囲の行動になっていくことが多いです。

 

遠足や宿泊体験学習は、学校において大きな行事です。

そこで子ども達がよい思い出ができるように教師は色々と準備をしたいものです。

今回書いた3つのことは、どれもとても簡単にでき、効果の大きなものです。

是非、自分なりにアレンジして、より良い行事になるようにしてください。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop