2013.07.02
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福島県特別支援学校PTA連合会総会に参加して

福島県立あぶくま養護学校 教諭 渡部 起史

   さる6月5日に、福島市の大笹生養護学校を会場に開かれた福島県特別支援学校PTA連合会総会に参加してきました。あぶくま養護学校からは、PTA会長、副会長2名、理事1名、校長、担当教員である私の計6名での参加になりました。参加準備の段階でPTAの役員からは、「先生、私たちの名刺を作ってくださいよ!」と依頼され、交流の機会をフルに活用していこうとする役員の皆さんの意気込みをひしひしと感じました。私自身としても、PTA担当になってから初めての対外的な会議への参加でしたので、各校のPTA活動の動向をしっかりとうかがってこようと張り切って出かけました。

 

   会場では、福島県内の特別支援学校のPTA役員や渉外担当教員などが一堂に会し、私も以前所属した学校の保護者や先生方とたくさんお会いすることができました。以前関わらせていただいた生徒たちの近況や進路先をうかがうのはとても嬉しいもので、話をしながら各々の生徒の成長した姿が目に浮かぶようでした。思い出話に花を咲かせるとがむしゃらに頑張っていた20代の頃に戻ったような気分になり、改めて今の仕事に全力で当たっていこうと意欲がわき起こってきます。このような他校交流の機会は、教員にとってもありがたいものです。

 

   午前中の単位PTA会長会議では、富岡養護学校のPTA役員から仮設校舎での学校生活について詳しい報告をいただきました。避難等により在籍する児童生徒は減ったものの、昨年度から供用された校舎にも慣れ、学校生活にも徐々に落ち着きを取り戻しているとのことでした。今年は久しぶりに屋外での運動会を実施することができ、児童生徒、職員、保護者一同がとても楽しい時間を過ごすことができたそうです。明るく話してくださる富岡養護の役員の言葉の中に、震災後2年余りの紆余曲折を経た苦労が忍ばれました。

 

   午後の総会では、県特P連会長の木曽さんから今年度の県特P連の新規事業についての提案がありました。各校へ震災時の対応とその後の生活に関するアンケートを依頼し、まとめたものを小冊子にしてデータベース化していこうというお話でした。南海トラフ地震などの大規模地震が懸念される中、福島県の特別支援学校が経験した震災後の対応は、貴重な体験として残し他県に向けて発信し、活用されていくことが望まれます。万が一の大規模地震・災害に備え、普段からできる準備に活用していただきたいと願い、この小冊子は県内各校の他にも全国特P連をとおして各地に送られる計画です。木曽さんは「今福島にできること」という言葉を何度も使い、2年を経過して当事者であった私たちも忘れがちになっている震災の記憶を風化させまいと、意気込みにあふれていました。

 

   総会では他にも、秋の研究大会や県への陳情に関してのお話しがありました。昨年度までには、この連合会でまとめて提出した陳情により学校環境の改善などにつながりました。陳情は、昨年度から陳情書を手渡しする形式から、県の担当者と懇談する形式に変わり、教育現場の実際の様子や陳情内容の細かいニュアンスまでお伝えすることができるようになったそうです。今回の総会で県内各校との情報交換を終え、本校でもこれからPTA役員会で話し合い、県への陳情内容をまとめていくようになります。

 

 

   会の中でたくさんの話をうかがい、連合会の事業は多岐にわたる上、各校の活動に深く寄与していることに気づきました。今まではなかなか深く知ることができなかったPTA連合会の事業や機能についてよく理解することができ、私自身とても有意義な出張となりました。

 

   帰りの車内では、8月の全知P連への参加や来年度からの県特P連事務局の運営について、会長や理事と意見交換を行いました。今、福島から発信できることとは何なのか、これからも本校の役員とたくさん話をしながら、実になる事業を企画していければと思います。

 

   保護者との出張の際は、いつも学校や事業所にお母さんの帰りを待つ児童生徒がいます。大切な時間を割いて参加してくださる保護者、待っている児童生徒のためにも、実になる情報を本校に持ち帰り、さらなるPTA活動の充実に役立てていきたいと考えています。

渡部 起史(わたなべ たつし)

福島県立あぶくま養護学校 教諭
東北最大規模の福島県立あぶくま養護学校に勤務し、総務部を担当しています。特別支援学校における学習環境の整備やPTA活動の役割など、様々な話題を提供していきます。

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