子ども劇団の教え子から、同窓会のお知らせが来ました。
実は私、10年以上前の話になりますが、地域の子ども劇団を主催していたことがあります。
プロの役者さんに演出を頼んだり、60人のオーケストラと共演したり、テレビの生放送に出演したり・・・私にとって楽しかった青春時代の思い出です。
当時の私にとって、そのような子ども劇団を立ち上げるということは、新しいイノベーションでした。
何もないところから、一から創り上げる。
誰もやったことのないことを、やってみる。
ワクワクする作業、でした。
でも、そんなワクワクも年月が経てば、だんだんと無理が生じてくる。
サークル活動を動かしたご経験のある方だと共感していただけると思いますが、こういう活動を長く継続することってすごく難しい。
人間関係も硬直化してきますし、モチベーションも維持できなくなります。
人間が集まるところにトラブルが発生しないわけがないですよね。
結果、わずか3年間で解散。自分の手で立ち上げ、自分の手で壊すことになりました。
スクラップ&ビルド。
当時の私は、「長く続ける」ことよりも、「壊して次のものを作る」方に自分の興味があったと思います。
新しいイノベーションにワクワクする快感を味わってしまったから。
さて、学校現場にも新しいイノベーションは次々とやってきます。
学習指導要領が新しくなった、教科書が新しくなった、教育制度が変わった、教員の勤務体系が変わった、新しい校務のシステムになった・・・
こういうものに対して、教員は不安感や反発、負担感などを感じることが少なくありません。
私たち人間は、「新しいものから受けるストレス」への耐性が意外と弱いのでしょう。
子どもはどうでしょうか?
子どもも意外と保守的です。
発達障害系の子どもたちには特に、変化に弱い子どもが多いとも言われています。
新しいイノベーションは、子どもを成長させるのに必要なことですし、社会を動かす原動力になるのは間違いありません。
「教育を変える」というイノベーション。
そんな、新しいイノベーションでワクワクしているのは、いったい誰なのか?
ただの大人の自己実現の手段だけであってほしくはないなあ。
同窓会の連絡を受け取って、そんなことをつれづれ考えてしまいました。
増田 謙太郎(ますだ けんたろう)
東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。
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