ICT-PJT始動
以前までお伝えしているICT活用のPJTが少しずつ動き始めました。
まずは第一回の打ち合わせを行いました。メンバーの多くは昨年度から小学部で一緒にいたメンバーですので、お互いのことはある程度わかります。そこに今年度からメンバーに加わっていただいた教員が数名いますので、まずは顔合わせを兼ねて集まりました。一人ひとりが少しでも発言し、お互いを少しでも知りながらプロジェクトを進めたいと考え、ワーク形式の打ち合わせを企画しました。これは私が何度も参加させていただいている「たすく」の研修を参考に、というよりは同じ形で行わせていただきました。
最初は「GOOD&NEW」この24時間以内にあったよかったことや新しいものの紹介をしながら自己紹介をしていくというものです。これは初めてのメンバーがいまどんなことに興味や意識が向いているのかがわかったり、そこをきっかけに話を膨らませることができます。このワークのおかげですぐに場は和やかになり、スムーズに打ち合わせができるきっかけになりました。次は一人ひとりがこの一年間、このチームでどんな姿を目指すのかをメモしてもらい、お互いの意見を交換してもらいました。これはチームとして目指す目標にプラスして、自分の目指す姿があれば、よりモチベーションを高く、プロジェクトに参加してもらえると考えたからです。また、お互いがどのような姿を目指すのかを共有すること、アイディアを持っている仲間がスムーズにアドバイスを伝えられるようになることも狙っています。これは年間を通して、その都度、チームとしての達成状況と合わせて個人の達成状況も確認し、取り組みを改善していきたいと考えています。
ここまでワークをしながら、チームとしてのコンセプトも私なりにまとめたものをお話させていただきました。チームを編成する時から少しずつお話してきた内容です。
この後、まだ年度がスタートしてすぐの時期ですが、二名の教員に現在の「朝の会」でのICTを活用した活動について、報告していただきました。実際にiPadを用いて「朝の会」を再現するような形で、児童の実態や取り組みの様子を語っていただきました。これは実に有効だったと思います。実際の活動にそって、学級で指導している形で伝えることで、より臨場感を持って聞くことができましたし、教員の考えている意図がはっきりと伝わってきて、とてもわかりやすく理解することができました。しかも「朝の会」という誰もが指導する場面を設定することにより、立場を共有することが容易でした。二名の教員による「朝の会」でしたが、学年も担当する児童の実態やよさも違うので、組み立て方や指導、支援のポイントも違い、実に参考になる部分が多かったように思います。このプロジェクトのメンバーは、まだ教員経験年数の少ない教員が割合として多いですので、非常に参考になったのではないかと思います。
この時期は、まだ各担任が各児童の様子を把握し、朝の会を形づくる時期です。模索していると言ってもよいのかもしれません。学級の形ができてきて、その後は、繰り返し指導・支援しながら成果と課題を整理し、より改善が求められる時期になってくると考えています。
このPJTでは、現在「自閉症教育の7つのキーポイント」によるアセスメントを各学級で実施し、その結果に基づいての見直し、改善を行ない始めているところです。まだ集計している最中ですが、学級によっては「注視物の選択」項目の評価点が高かったり、「表出性のコミュニケーション」の評価点が高かったりと学級ごとにカラーが違います。そこをしっかりと把握することで、より児童の実態とねらいに応じた、よさを活かした学習活動が組めるのです。「キーポイント」は「学習を支える学び」ですので、ここをしっかりと把握し、ターゲットを明確にしていくことで必ず学習成果が変わってきます。その中で、どの部分にデジタルを配置し、アナログと組み合わせると学習効果が高いのかを考える一つの指標としたいのです。また、一つの評価軸を立てることが、お互いの実践を検討する上でより具体的に参考にできる部分が出てくるのでは、と考えています。
まだまだ動き始めたばかりの取り組みですが、一つずつ丁寧に、メンバーと協力し、切磋琢磨しながら、子どもたちのために進んでいけたらと考えているところです。
郡司 竜平(ぐんじ りゅうへい)
北海道札幌養護学校 教諭
小学校支援級、通常級と担当させていただき、現在は札幌養護学校小学部にいます。ここでは、私が取り組んでいる特別支援教育におけるICTの活用について具体例を交えながらご紹介していけたらと考えています。
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