2013.05.10
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東北でオリンピックを開催したら・・・

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

連休に信州を訪れました。

 

善光寺、志賀高原などを訪れました。

信州は住んでいる埼玉北部からそれ程遠くないので、よく訪れます。

 

訪れる度に感じることに「交通インフラの良さ」があります。

鉄道にしても、高速道路にしても、一般道にしても本当に良く整備されています。

いつもとても快適に移動することができています。

その理由の大きなものに1998年に開催された「長野オリンピック」があります。

日本で行われた札幌に次ぐ、二回目の冬季オリンピックです。

当時、オリンピックに向けて様々なインフラが整備されました。

基本インフラである交通もこの時整備されました。

オリンピックから15年も経ちますが、その時整備された道路などが今でもとても役に立っています。

 

ところで、今、東京が夏のオリンピックに立候補しています。

マドリッド、イスタンブールと競っています。

今年の秋には結果が出るようです。

 

今日、良く整備された道を快適に走りながら、「東北でオリンピックをしたらどうだろう?」とふと思いました。

現在、東北は、震災からの復興で様々なインフラを整備しています。

しかし、順調に進んでいない部分もあると報道などで聞きます。

もし、この復興に、「オリンピックに向けての整備」ということが加われば、スピードも、量も格段に上がるはずです。

東京でオリンピックをすることに反対はしませんが、東北で「復興」をテーマにしたオリンピックを開催することができたら、どれだけすばらしいのだろうかと思ってしまいました。

 

トヨタ自動車のCMで、ビートたけしと木村拓哉が言っている

「仙台をボストンに、山形をシリコンバレーに、岩手をデトロイトに、福島をウィーンに・・・」

というようなものと同じような発想です。

 

復興は、なかなか進んでいないように思えます。

様々な権利や利益欲などが複雑にからんでいるように見えます。

また、福島に関しては、放射能というとてつもなく大きなものを相手にしています。

日本人が、世界の人が経験したことのないようなことに取り組んでいます。

難しく、とても苦労の多いことだと思います。

 

そこで起爆剤となるものが「オリンピック」です。

既に蔵王でジャンプのワールドカップや雫石でノルディックのワールドカップが開かれています。

仙台には、大きなスケートのリンクも用意できます。

そういったものを活用しながら、冬季オリンピックを開催するのです。

現在、東京が誘致をしようとしているオリンピックでも、一部を仙台で開催するようです。

それも決して悪い事ではありませんが、東北を活性化させるには、さらに大きく行っていく方がよいと思います。

もし、オリンピックを開催するとなれば、計画されてからも着工できずにいる高速道路や鉄道などの整備、宿泊施設や公共施設の整備などが急ピッチで進むはずです。

大会中は多くの人が訪れます。

震災の跡を見てもらい、色々なことを考えてもらう場にもなります。

そして「災害からの復興」のモデルケースとしていくのです。

素晴らしいアイデアだと思うのですが。

 

勿論、オリンピックなどを開催するよりも先に被災者の住宅を建設し、放射性物質の保管についての具体的な方法を考えることの方が大事かもしれません。

けれど、難しい問題もあるのが現状です。

オリンピックを使って、復興の勢いを高めていきたいという狙いです。

 

先にも書いた通り、「東北でオリンピックを」というアイデアは、トヨタのCMを見たことと、長野県を訪れ、交通インフラが整っていることから思いつきました。

子ども達には、この様な発想で様々なことを考えて欲しいと思っています。

社会に目を向け、自分の将来について、真剣に、柔軟に考えていって欲しいと思っています。

社会で起こっている問題は、子どもにとって他人事ではなく、自分自身の問題です。

現在の復興をどうするか、エネルギーを原発に依存するのか、周辺諸国との関係はどうするかなどは、今だけでなく、将来に渡って重要な問題です。

今の政治が良くなければ、つけが回ってくるのは、将来の大人である今の子ども達です。

 

教師は、子ども達にそういったことを意識させることができるも大事な仕事の一つだと思います。

連休に信州の快適な道を走りながら、そんなことを感じました。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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