2013.04.30
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校内ガイドライン説明会。

北海道札幌養護学校 教諭 郡司 竜平

ガイドライン1ガイドライン2

 

自閉症等への対応ガイドライン説明会を実施しました。

先日、校内で教務部と研修部でコラボして、本校で取り組んでいる「自閉症等への対応ガイドライン」の説明会を実施しました。これは毎年この時期に実施しているものです。一年に一度、本校のガイドラインを再確認していこうというのが第一義的なねらいです。そして今年度から本校に勤務される方々に、ガイドラインが作られた目的や経緯から知っていただく機会でもあります。私はこのガイドラインの改訂作業にかかわっていたこともあり、その内容をできるだけ皆さんに知っていただき、理解して実践に役立てていただくことが本校の教育の充実に寄与することだと考えています。

 

 新年度始まりのこの時期は業務が錯綜していて、ガイドライン全ての内容をお話する時間はありませんので、毎年「ここだけは!」という内容をピックアップしています。ここ数年は、自閉症等の児童生徒さんの感覚の課題を取り上げていました。これにより感覚の過敏に対する支援が少しずつできてきていると感じています。まだまだ不足していることもありますが、対応できる場面を校内で数多く目にすると、この説明会を開催している意義もあるなと再確認できます。

 

 今年度は昨年度からピックアップしている「スケジュール」について再度確認させていただきました。自閉症等の児童生徒さんの「スケジュール」と言うと、誤解を恐れずに言うと、まだ、大人が子どもたちの行動を「管理する」「制御する」という誤解を与えている部分もあるかもしれません。本校では、少しでも「自ら」動く、行動する、活動することに向けて取り組もうとしています。「スケジュール」とは、まず見えない時間を顕在化させるものです。時間は人の行動の弁別刺激として機能していますし、視覚的な情報の処理の方が得意と言われる自閉症等の児童生徒には、顕在化させることで理解が進むのです。合わせて、本校では「時計の指導の必要性」を提案しています。これは将来的に必ず必要になってくるスキルの一つとして考えていますし、新学習指導要領でも「小学部 生活」-「日課・予定」という項目が新たに設けられたことからも一層指導を充実させていかなければならないと考えています。このことも説明会の中で、繰り返し説明させていただきました。さらに、小学部から一貫した取り組みが必要ですので、全校で確認できたことは大きな意味があると押さえています。

 

 説明の最後には、校内における実践例をいくつか紹介させていただきました。スケジュールの提示内容は児童生徒の認知特性によってさまざまです。具体物からはじまり、写真、イラスト、文字などいろいろとあります。そこを見極めながら日々改善していくことが求められています。また、提示だけのスケジュールから指示に応じる、自ら選択する、他者に配慮して変更することができるなど「スケジュール」の指導を通していろいろと指導いくことも求められています。ここはまだまだ本校でも課題が多い部分ですが、まずは全校でしっかりと共通意識をもって基礎部分から取り組んでいければと考えています。

 

 説明後には、全員で現在の「スケジュール」を含めた「構造化」の取り組みについてのセルフチェックをしていただきました。自己の取り組みを振り返っていただき、明日から取り組む内容が具体的にイメージできていれば説明会もやったかいがあるかなと思います。

取り組みはまだまだ道半ばですので、絶えず改訂を意識しながら検討していこうと考えているところです。

 

前回お伝えしたパナソニック教育財団さんからの研究助成で主に取り組む内容も「スケジュール」です。これからの研究成果を加味しながら、さらにガイドラインを充実させていきたいとも考えています。 

郡司 竜平(ぐんじ りゅうへい)

北海道札幌養護学校 教諭
小学校支援級、通常級と担当させていただき、現在は札幌養護学校小学部にいます。ここでは、私が取り組んでいる特別支援教育におけるICTの活用について具体例を交えながらご紹介していけたらと考えています。

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