2013.04.25
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登校への橋渡し

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭 岩本 昌明

新学期も、既に3週目に突入の頃ですね。
3と言えば、「黄金の3日間」という言葉があります。
最初の数日間での指導の良しあしで、学級運営、教科指導等が
決まるようなことを意味しているようです。

みなさんは「黄金の3日間」とはいかなくとも、
滑り出しはいかがでしょうか。順調でしょうか。


つれづれ日誌執筆者の方の中にも
今年度から新たな担当や仕事内容に変わられた方が
告知されておられます。

未経験の部署や仕事内容に緊張感を持って新年度を迎える方も
おられることでしょう。
そんな先生方には、もう少ししたらやってくるゴールデンウイークが
待ち遠しいのではないでしょうか。

私ごとですが、
新年度から時間割編成やら新入生の受け入れやらPTA等渉外担当の
準備やらで、大変充実した毎日を送っております。
幸い、校種は異なりますが前任校で同様の仕事内容を
経験しているのであたふたするほどではありませんでした。
というよりは、ほとんど周りの方々に助けられて何とか仕事を
こなしてきたというのが正直なところです。

さて、私は病弱の担当になりました。

私は生徒が見通しを出来るだけ持てるように
次のように予定を連絡しています。
今日の予定、明日の予定、今週の予定、来週の予定、今月の予定等です。
毎日の朝の学活の時間に、今日の時間割と明日の予告が入ったプリントを
配布します。
月曜日など週の初めには、今週と次週の予定のプリントを配布します。
金曜日には来週の予定のプリントを配布します。
毎月最初の日には、今月の予定のプリントを配布しようと思います。
「見通し」を持つことと、授業への不安を少しでも軽減するためにです。

配布プリントには、授業担当者名と使用教室名も入れました。
授業を受ける教室の場所で、不安にならないようにしています。
授業担当者名は、振り仮名を振っておきます。田を「タ」や「ダ」と
読むのか紛らわしい場合もあるからです。
少しでも先生の名前と教科名と一致するようにとの配慮からです。

6時間目まで授業を受けることが出来たら万歳です。
学習指導要領に示されている「障害のある幼児児童生徒が自己の
もつ能力や可能性を最大限に伸ばし,自立し社会参加するために必要な力を
培う」という趣旨の下で、
無理せず、やわやわと授業に参加することを薦めています。
無理せず、やわやわと学校に登校することを願っています。
100%頑張りすぎて、次の日から欠席が続くことは避けたいものです。

「自立」の授業では、生徒に次のことなどを話し、理解を求めました。
1.自分が今「辛いまたは苦しい」という状態が分かること。
頭が痛くなる、腹痛がするなど自分で体調の変化を把握すること。
2.自分が辛いという状態を人に分かってもらうこと。
「頭が痛い、腹痛がある等」を授業の先生や担任や養護の先生に声等に出して伝えることができること。
3.自分が辛いと言う状態の対処方法が分かること。
体調が悪いと感じた場合に、保健室へ行くことができる。自分の親に携帯等で連絡を取ることができる。家の人に迎えに来てもらうことができる。早退を担任に申し出ることができる。等
4.自分が辛い場合に対処方法の行動を起こせること。
保健室へ行くことを申し出て、保健室へ足を運ぶ。自分の親に電話していいか尋ねたり、許可を得たりできる。
5.自分が辛い場合でも我慢して授業を受けること。
5分でも10分でも我慢してみる。午前中までは頑張ってみる。等

学校の敷地内に入ることから頑張ろうと呼びかけました。
1分でもいいから校舎内に入ろうと促しました。
午前中登校できなくても、午後からでも登校していいぞと呼びかけました。
そして、勉強もするぞ!と笑顔で別のプレッシャーもかけました。

自分の意志で本校への入学を決め、受験し、
高校生活をスタートする意欲を見せたはずです。

天岩屋戸(あまのいわやと)にこもる天照大神のごとき生徒らを
自分の力と意志で、岩戸の外に出てくることができるように支援を続けたいものです。

岩本 昌明(いわもと まさあき)

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
視覚に病弱部門が併置された全国初の総合支援学校。北陸富山から四季折々にふれて、特別支援教育と英語教育を始め、身の回りに関わる雑感や思いを皆さんと共有できたらと願っています。

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