2013.04.04
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

新しいクラスを始める時に考えていること

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

新年度が始まります。

13期のつれづれ日誌も始まります。

どうぞよろしくお願いします。

 

きっとこの数日、先生方は慌ただしい日々を送っているのだと想像します。

そういう私もばたばたとした日々を送っています。

ちなみに、校長から担当するクラスを言われた日、色々と考えてしまい、朝の3時まで眠れなくなってしまいました。

別に「嫌だから悩んでいる」という訳ではなく、どういった作戦でやっていこうかということをあれこれと考えていたら、頭が冴えてしまったということです。

 

ところで、今回は4月の「学級の始まり」について書きたいと思います。

以前、「初めての宿題は手品」という題で、宿題についての取り組みについては書いたことがあります。

今回は、それ以外に学級をスタートする際に私が心がけていることなどを書きたいと思います。

 

4月の第一週、初めて子どもと会う日、担任が教室に行くと、子ども達は、ちゃんと椅子に座り、良い姿勢で、こちらを見ています。

ちょっと落ち着きのないような子どもも椅子に座っているはずです。

もし、この時点でちゃんと座っていなかったり、ふざけているようだったら、状況はかなり深刻だと考えた方が良いでしょう。

どんな子どもも、「今年の先生はどんな先生なのだろう?」と興味津々です。

だから、教師が話すことを聞こうとしますし、きちんと行動もします。

教師の基準(何をしたら怒られるのかなど)が分からないので、一先ず様子を見てちゃんと座っています。

 

これは、教師がベテランであろうと、新任の若者であろうと同じ状況です。

 

違ってくるのは、数日後です。

経験の少ない先生のクラスは、数日でほころびが出てきます。

ベテランの先生は、大事な部分を押さえながら日々過ごしていきますので、クラスが生き生きと動き出します。

半月もすると、うまくいっていないクラスは、既に「学級崩壊」のような状況になってしまっている場合もあります。

子ども達が勝手に動き出してしまいます。

 

経験年数の少ない先生は、是非、たくさん他の先生方の実践を調べてください。

本もありますし、ネットワーク上にはたくさんあります。

教師には、その人のカラーというのがあるので、真似してもうまくいかないものもあります。

数年を掛けながら、自分がどの様なスタイルで学級をスタートさせるのかというものを作り上げていってください。

 

実践では、はじめの一週間でクラスが機能するように様々なことを全て決めてしまうというものが多いです。

話をきちんと聞いているうちに、決め事などをしてしまうという感じです。

私も基本的には同じなのですが、もう少しゆっくりと学級をスタートさせる感じです。

勿論、学級の仕組み作りも行っていきます。

そうじ開始までにそうじの仕組みができあがっていないと困りますし、給食なども同様です。

しかし、そういった部分よりも学校生活や人としての根本的な考え方のようなものを伝えていくことを重視します。

 

具体的には、次のようなことです。

 ・なぜ、学ぶ必要があるのか

 ・なぜ、人をぶってはいけないのか

 ・自分という存在の意味

 ・学校とはどういう所なのか

こういったことなどを話していきます。

一度に話をすると混乱するので、一日に一つの話題を話すようにしています。

 

こういった話は、後々で非常に意味が出てきます。

一年間、約30人の子どもと大人の教師が一緒に生活をしていると様々なトラブルが起こります。

そういった時に、はじめに話したことが効いてきます。

全体で、「何をした方がよく」、「何をしてはいけないか」を確認してありますので、話がスムーズに進みます。

「何をしてはいけないのか」については、具体的に「○○はしてはいけない」などは細かい部分を決めるのではなく、「人の迷惑になるようなことはしてはいけない」のように広い意味で話をします。

 

どうしても人は大事なことでも忘れてしまいますから、掲示物などを作って貼っておくと子どもが意識しやすくなります。

 

はじめの半月程で、担任が何を大事にしているのかを伝えていきます。

そのために、4月の第一週(子どもに会う前)にしっかりと考えます。

どうしても、事務作業の多い時期です。

事務仕事はそれなりにこなし(勿論、いい加減にという意味ではないですが)、しっかりと考える時間を確保したいものです。

 

さて、今年度も新しいクラスがスタートです。

教師にとっても、子どもにとっても、親にとっても、「幸せな一年」となるように願っています。

 

 

※新年度の授業で私が使っているパワーポイントの資料があります。

 興味のある方はご覧ください。自由に作り変えて、使ってもらって結構です。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop