私は昨年1年間、とある大学の教職大学院で派遣研修をさせていただいておりました。またこの4月より、都内の小学校にて特別支援学級の担任となります。
さて、この4月より、新しく特別支援学級の担任になられた先生方も多いのではないかと思います。
このところ特別支援学級の「担任ガイドブック」や「学級経営12月」のような本も出版されてきています。
初めて特別支援学級の担任となる先生方にとって、「どのように学級経営をしたらよいか」というニーズが高まっているのだなあと感じます。
そこで今回のつれづれ日誌では、私が考える特別支援学級の経営理念をお伝えしたいと思います。
・・・と、カッコイイことを言ってみたところですが、誤解をされると困ってしまうので、少し前置きを。
特別支援学級とひとくくりにしても、そこには、知的障害児を対象とした学級だけでなく、情緒、肢体不自由、言語、聴覚、視覚、病院の院内学級など様々な特別支援学級があります。
「特別支援学級の担任ガイドブック」の多くは、知的障害の特別支援学級を想定して作られた物が多いです。
ですので、肢体や言語・聴覚・視覚などの特別支援学級に初めてなられた先生は、しっかり内容を確認してから、「担任ガイドブック」を購入されることをオススメします。
私は小学校の知的の特別支援学級の経験が主ですので、私の話も知的障害の特別支援学級についてのものになります。
前置きが長くなりました。
○立ち位置は、通常の学級 > 特別支援学校
特別支援学級には、普通の小学校に併設されているので、学校内での「立ち位置」が問題となります。
この「立ち位置」が、初めて特別支援学級に来られた先生には、なかなか慣れないところでもあります。
「えっ! 教科書じゃなくて、絵本をもらうの?。」
「『国語』じゃなくて、『ことば』の時間っていうんだ。」
「なんか、通常の学級の先生たちと最近話してないねえ・・・。」
通常の学級から来られた先生方は、こういうところ戸惑いますよねえ。
確かに、どれも法的には問題ないですし、子どもの教育ニーズに応えるためにはある意味正しいのかもしれません。
でも、これが特別支援学級の常識だと勘違いされると、ちょっと違うかなと思います。
私は現在の勤務校で、「教科書は絵本ではなくて、通常の学級と同じものを使用」「授業科目名も通常の学級と同じ」「職員室も通常の学級と一緒」としてきました。
それは、「特別支援学級がなぜ普通校に併設されているのか?」という私の答えでもあります。
特別支援教育を専門に行う学級として、特別支援学級にはそれなりの専門性が必要です。
でも、専門色が濃くなると、どうしても通常の学級との解離が大きくなってしまう。
でも、とても身近な存在として、通常の学級があるのだから、こちらと歩調を合わせていくほうが私は大事ではないかなと思います。
これは、学校によって、地域によって、子どもによっては、差がある話になります。
また、学級が長年にわたって積み上げてきた伝統のようなものもあるでしょう。
でも、「今やっている教育が絶対正しいんだ」という思い込みが一番子どもにとってはマイナスです。
思い込みを避けるうえでも、新しく特別支援学級の担任となられたあなたの存在はとても大きいものです。新しい風を特別支援学級に吹きこんでください。
ともに新しい特別支援学級を築いていきましょう!
増田 謙太郎(ますだ けんたろう)
東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。
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