2013.03.04
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この世で一番大事な「キューリョー」の話

東京学芸大学教職大学院 准教授 増田 謙太郎

  教え合えば

 さて、今回の「学校あるある」は、職場ではなかなか話題にできないところに切り込んでみたいと思います。そうです、教師の「お給料」がテーマです。

 

 

(1)教師は、お給料についてどう思っているのか?

まずは、私の通う教職大学院の学生が作ったサラリーマン教員川柳から。

 

○給料が 増える以上に 増える仕事(小学校女性)

○まちわびて もうすぐボーナス でも妻へ(小学校男性)

○初任給 諭吉が何人 いるのかな (大学院生)

○子どもラブ だけどやっぱり 金もラブ (大学院生)

○高いほど 旨味があるのね カロリーと給料 (特別支援学校男性)

○給料で 選んだ仕事じゃ ないけれど(高校女性)

 

 そうですね。多くの人は、教師という仕事を給料で選んだわけではないと思います。そうであってほしいと、思いたいですね。

 しかし、「教師の仕事が好きなだけ。給料なんか関係ない!」と本当に言えるでしょうか?

  

 初任者の頃、校長先生にこんなことを言われました。

「あなたの給料を、あなたの学級の人数で割ってごらん。その子どもたちに、あなたはその分だけ指導ができましたか?」

 

 お金をもらってるんだから、ちゃんと仕事しろっ!ってことですね。

 

 やはり、教師は給料をしっかりもらえる「教育のプロ」なのですから、お給料をもらっている以上、その自覚はしないといけないと思います。当たり前ですけど、ボランティアじゃないのです。

 

 

(2)実績や能力に応じて、給料に差をつけてよいのか?

 

 賛成派と反対派、まずは双方の意見を整理してみましょう。

 

《賛成派》

○給料にメリハリをつけるのは当然。

○悪平等間は払拭すべきです。教師の能力の差は歴然なのです。

○民間では当たり前。学校の常識は社会の非常識です。

○適度な競争が成果を生む。教師にもっと競争を!

 

《反対派》

○金のために働いているわけではない。

○競争より、教師の和が大切です。

○子どもにとって先生はみな同じ。差をつけてはいけません。

○まず的確な業績評価制度を確立することです。

 

 賛成派の意見は、時代の流れ的には、もっともな意見だと思います。学校だけが、世間から浮世離れしているのはどうなのかってことですよね。

 反対派の意見は、現場の生の声でしょう。実際、給料が高くなる仕事につけば、「あの人はたくさんの仕事をこなして当然!」という同僚の目が怖いという声を聞くことがあります。

 

「お金ってコワイ」ですね・・・。

 

 

(3)初任給、何に使う?何に使った?

 

これから「教師」になろうとしている教職大学院生に、「最初にいただいた給料をどう使いますか?」と聞いたときの答えです。

○借金返済

○後輩にごちそう

○スマホがほしい

○奨学金の返済

○東京ディズニーランド・ホテルミラコスタ宿泊の旅を両親にプレゼント

○これから10年着たい素敵な洋服を1着買う

 

意外と、堅実というか現実的ですね。

 

 

次に、現職の教員に、「最初の給料は何に使いましたか?」と質問しました。

○口座にそのまま寝かせていた(それを世間では貯金というのだよ)

○調子にのって散財

○すべて親に

○デスクトップのパソコン購入(昔は高かったですよね)

○一人暮らしに必要な家具

 

人それぞれ、思い出となっているのは確かなようです。

このサイトをご覧の皆さん、そしてつれづれ日誌を執筆しているプロの先生方にもきっと素敵なエピソードがあるのではないでしょうか?

増田 謙太郎(ますだ けんたろう)

東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。

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