2013.02.13
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ぼくは、こども?児童? ~キャリア教育のスタート地点

東京学芸大学教職大学院 准教授 増田 謙太郎

イメージ優しい手 

 今回も、まずは大人の皆様にテストですよ(笑)。

 

 

(問)次の文章のあいている部分に、下の語句欄から、適当な言葉を選んで入れなさい。

 

(1)JR東日本では、1歳から6歳未満のお客様は【A】です。

 

(2)主に子供を診るのは「【B】科」です。

 

(3)「【C】よ、大志を抱け!」

 

(4)【D】の飲酒は禁じられています。

 

(5)5月5日は国民の休日です。「【E】の日」といいます。

 

(6)○○高校の【F】諸君! 全国大会での健闘を祈ります。

 

(7)【G】手当の支給に関する法律の一部を改正する法律等の施行・・・

 

 

【語句欄】

こども ・ 青少年 ・ 幼児 ・ 未成年 ・ 生徒 ・ 児童 ・ 子ども ・ 少年 ・ 小児 ・ 子供

 

 

 大丈夫ですか? 余裕ですか?(笑)

 そうです。前回は「教師」の呼び名あれこれでしたが、今回は「こども」の呼び名あれこれです。

 

 「こども」もまた、場面によっていろいろな使い分けがあるのですね。ほんと、日本語って奥深い!

 

 一般的に、小学校では「児童」、中学高校では「生徒」と呼んでいます。ですが、このことは意外と世間的には知られていません。

 

 たとえば、テレビや映画や小説の学園ドラマで、小学校ものなのに、「生徒」と呼んでいるものが多いです。取材が足りてないなあ・・・と本職の教員は密かに思っているのですよ。(制作会社の皆さん、お気をつけください!)

 

 

 もうひとつ難しいのが、「子供」か「子ども」か「こども」か。表記の問題です。

 同じ「こども」という言葉でも、どの表記を使ったらいいか迷うときがありませんか?

 

 まあ、日記やブログなんかではどれを使ってもいいと個人的には思います。

 ただ、「子供」の「供」の字は従者を意味し差別的だから「子ども」が正しいとか。いやいや、そう考えるのが差別的だから、「子供」でいいとか・・・これには論争があるようです。

 でも、このような多様な意見があることを知っておくのは、人権を考えるうえでも大事なことかもしれません。

 

 公文書は、法律や規則によって表記のルールが決まっている場合もあるので、気をつけましょう。

  

 

 

 さてさて、「こども」自身にとって、自分が「子ども」なのか「子供」なのか「生徒」なのか「小児」なのかを知るということ。

 

 ちょっと前に流行りましたね。自分探しの旅。

 自分探しの旅の前に、まずは「今の自分はどう呼ばれているかを知る」ことをすると、自分のアイデンティティが確かなものになるのではないでしょうか。

 

 それは、社会において、私は他者からどう期待されているのかということでもあります。それが「キャリア教育」のスタート地点なのかもしれません。

増田 謙太郎(ますだ けんたろう)

東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。

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