先日、本校小学部で実技研修の一環としてiPadの活用についての研修を担当させていただきました。この研修は「アナログの教材教具の活用について」、「ICTの活用について」、「自閉症のお子さんのアセスメントと活用について」の三部構成になっていて、私はその一つを担当させていただきました。
私の担当する研修の実施に当たっては、NPO法人NEXT DAYさんと北海道特別支援ICT活用PJさんに多大なるご協力いただいて、さらに教員の個人持ちの端末を含めて20数台のiPadで行いました。
前半は私が昨年度、今年度に児童の指導・支援に活用してきた数例をご紹介させていただきました。事例を「児童の学習として」「児童の生活のサポートとして」「教師が児童をサポートするツールとして」「そして教師が仕事に用いるツールとして」今年度の取り組みについては、こちらのブログにいままでアップしてきたとおりです。いくつかの事例を紹介しましたが、「触るとわかる」けれど「魔法ではない」ことを強調してお伝えしました。私は、とにかくここを間違うとうまく活かせられないと考えています。ねらいがあって、そのねらいを達成するための一つの方法として用いることがよいのではないかと提案させていただきました。
後半は、教員の方々にとにかく「触る」時間を多く設定しました。初めて触る参加者もいましたので、とにかくその操作性と楽しさを味わっていただこうと企画しました。
まずはアプリ【Photo Booth】を使って、お互いにおもしろ写真を撮ってシェアしました。時間の都合で、各グループの代表に撮った写真をTV画面につないで写真のポイントを紹介していただきました。どの写真も面白いものばかりでしたが、共通していたのは「人物」を撮影していたことでした。これは私にはとても興味深いものでした。
私の方では、「いろいろなものを撮ってみてくださいね」とお伝えしましたが、どの方も「人物」を撮っていました。これがなぜ興味深いかと言うと、同じアプリを使用した時に子供たちは「物」を撮ることから始めるからです。どのお子さんも、というわけではもちろんありませんが、私が担当しているお子さんたちはカメラアプリではまず「物」を撮ります。この違いはどこからくるものなのか、ということが私には興味深いのです。単に興味があるものの違いなのか、研修の場だからなのか、社会性の段階が違うからなのか。これからこのような機会があれば再度チェックしたい項目になりました。
この「撮ったものをみんなにシェアする」活動は、子供たちができる活動にそのままなると思いますし、自分たちの活動を伝え、共感するというのは十分に教育的活動になり得ると思います。そのような思いもあり、まずこの活動を設定しました。参加された教員の方々は私の予想以上に盛り上がって、撮影していましたよ。うちの学部の、何よりもまず楽しむという姿勢は私は好きです。
次に【iPhoto】アプリを用いて、「撮った写真を一枚にまとめる」活動をしました。アプリの「ジャーナル」という機能を使って、素早く一枚にまとめる活動を通して、その便利さを味わっていただきました。私たちの仕事では、行事ごとに写真をまとめたりすることもありますので、この機能は参加者にも好評でした。
この研修企画には、新年早々に参加させていただいたApple Storeでの「キッズワークショップ」の内容を参考にさせていただきました。
短時間で二つのアプリを使っての研修でしたので、時間も十分とは言えませんでしたが、そのよさは伝わったのかなと個人的には振り返っています。参加された皆さんからも「ツールとして検討してみる」とか「とにかく楽しくできるのがいい」というご意見やご感想をいただきました。
こちらで毎回お伝えしているとおり、目的があり、その目的を達成するためのツールの一つとして、これから活用が広がればいいなと願っているところです。
郡司 竜平(ぐんじ りゅうへい)
北海道札幌養護学校 教諭
小学校支援級、通常級と担当させていただき、現在は札幌養護学校小学部にいます。ここでは、私が取り組んでいる特別支援教育におけるICTの活用について具体例を交えながらご紹介していけたらと考えています。
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