2012.10.29
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蜂に刺されたら―「常識」って?

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭 岩本 昌明

(常識?エピソード1)
先月校外学習がありました。
ここ富山では立山連峰の麓の国立少年自然の家周辺で
校外宿泊学習を行いました。
視覚、病弱の生徒が山登り、野外炊飯を経験し、
体験を広げる機会となりました。

私ごとですが、蜂に刺されてしまいました。
野外炊飯で、カレーを作るために食材の玉ねぎを
切り刻んでいたA子さんの肩の所に蜂が止まっていました。
スズメバチでなく、ミツバチのような1cmにも満たない
小さい蜂でした。

「この程度の小さい蜂なら叩いて潰してやれっ。」

残酷な私に天罰が当たるとは予想だにしませんでした。
相手をすっかり見くびっていました。
手でパチッと叩いてつぶしました。
ここまでは良かったのです。
しかし、叩いた瞬間に右指を「チクッ」と
蜂に刺されてしまいました。
蜂もただでは死なず、人間に毒牙を向けて天寿を全うしました。

刺された時は、さほど痛みを感じなかったのですが、
自分で応急処置として
近くの水道の蛇口の冷水に指をつけました。
刺された傷口付近の毒が
少しでも流れ出るように晒(さら)していました。
しかし、痛みが少しずつ強くなってきました。
私の異変に気付いた体育の先生が養護の先生を呼んで
下さいました。
恥ずかしながら、養護の先生に事の顛末をお話し、
消毒をしていただき、絆創膏を貼っていただき
事なきを得ました。

私は養護の先生に、
「アンモニアってないのでしょうか。」と尋ねました。
すると、
「最近はアンモニアを(蜂に刺されたときに)
使わないのですよ。」
「一昔前なら、ちょっと汚いかもしれませんが、おしっこをかけ
なさいと言ってましたね。」
「今は、消毒液で十分になったのですよ。」
と教えていただきました。

私は、自分の遠い記憶と、それから化石のように変わっていない
自分の考え方を反省しながら振り返りました。

それは、小学校の2年生の頃でした。
弟が蜂に刺され、慌てた母親におしっこを出しなさいと言われた
場面が浮かんできました。昭和の出来事です。

蜂の毒が酸性で、おしっこがアルカリ性だから中和できる!!
こんなことが信じられ、または常識と思われていたとは。
当時の科学者は否定しなかったのでしょうか。


(常識?エピソード2)
先日、マラソン大会がありました。
開会のあいさつで、「皆さん!水分補給は十分して、
気持よく秋空の下走りましょう」と言われました。

『巨人の星』のマンガを観て育った私のような世代では
小学・中学・高校と、「走る時(運動中)は水を飲んではいけな
い」と先生に言われて、喉が渇いても我慢していました。
(参考:http://oshiete.goo.ne.jp/qa/3542228.html

走ること以外にも、近代科学スポーツ学が発達した現在では決し
て行わないようなことをしていました。
 

足を伸ばしての腹筋、うさぎ跳びなどです。
これらは、現在では行わないことが「常識」のようですね。
(読者の方は、私とは異なり当然に「常識」だと思っておられま
すよね)



(常識?エピソード3)
擦り傷などをしたら、昭和世代の私は
「赤チン」のお世話になりました。
最近は、使わなくなりました。
これも常識が変化したからでしょうか。
因みに、赤チンきは富山の薬局でしか売っていないという書きこみがありました。
他の都道府県では見かけなくなってしまっているでしょうか。
今度、旅行で富山を離れたら気を付けてみようかと思いました。
富山の常識が他で通用しない例としても面白いのでしょうか。
(参考:http://okwave.jp/qa/q1905524.html


これら話で、幾つかのサイトを参考にさせていただきました。
全てを参考に示すことはしませんでしたが、
改めて昭和の世代は、遠くなってしまったことと、
私の常識がもう古く黴(かび)て、
いや干からびてしまっていることを再認識することになりました。

だからこそ、「学び」続けなければならないのでしょうか。

「うっ~!」新しいことに、頭も体も、もうついていけない。


追伸:石原都知事が辞職の報が入りました。彼の常識で
これからの政局はどうなるのでしょうか。彼の80歳という
年齢からの再出発に今は驚きと戸惑いを感じています。
失礼いたします。
(本文が掲載される頃は、違った局面が報道されていることでしょうか。) 

岩本 昌明(いわもと まさあき)

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
視覚に病弱部門が併置された全国初の総合支援学校。北陸富山から四季折々にふれて、特別支援教育と英語教育を始め、身の回りに関わる雑感や思いを皆さんと共有できたらと願っています。

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