はじめまして。「教育つれづれ日誌」第12期の執筆メンバーになりました、教員7年目、肢体不自由特別支援学校で指導している、植竹安彦(うえたけやすひこ)と申します。どうぞよろしくお願いします。
教員になる前は、民間企業で営業を1年、経理を4年経験してきました。その時、常に求められていたのはAccountability(説明責任)というものでした。
決算情報の公開後などは、株主から直接電話をいただき質問を受けるということもありました。その時、「なぜ、どうして」という観点をしっかり説明できないと、企業として信頼されないということを学びました。
今、特別支援教育に携わる者として、改めてこの説明責任の大切さを感じています。
特別支援教育では、児童・生徒一人ひとりに対して「個別の指導計画」を作成することが義務付けられ、早10年が経ちました。
しかし、「なぜ、どうして」この指導が今必要なのか、この指導の結果、子どもたちの将来に「どのような」良い変化が起きるのかといった説明を、しっかり子どもたちや保護者にまだまだできていないと感じています。
この、「なぜ、どうして」という問いかけを自分自身にすることができるか、できないかで教育の質が大きく変わると思っています。
それは、児童・生徒が伸びない原因を「子どもにやる気がないせいだ」とか、「家庭のしつけができていないからだ」とか「障害が重いから繰り返し学ぶのに時間がかかるからだ」など他人のせいにしていまいがちだからです。
「なぜ伸びない」「どうして集中できない」など、原因を探り、「きっとこうすればうまくいくだろう」と予測(仮説)をもって指導することで、マンネリや習慣ではない、その子一人一人に適した教育ができるのではないかと思っています。
会社員時代の経験から、自分が「なぜ」今この実践を行うのか説明できないと気持ちが悪いという思いもあり、発達の視点から自分の実践を語れるようにすることを心がけてきました。
というわけで、「発達を軸に、自分の実践を語る」ことを中心に、今後「つれづれ日誌」を書いていきたいと思います。
少しでも、「なぜ、どうして」を語るための根拠を得たいと思い、一昨年「臨床発達心理士」という資格を取得しました。まだ初心者マークの駆け出し発達心理士ですが、私の目を通した教育実践が、特別支援教育に携わる方だけでなく、普通教育の実践にも活かしていただけるように書きたいと思っていますのでご期待ください。
特別支援教育を実践していく中で、目の前の子どもたちから教わることが多々あります。
ピアジェの理論、感覚統合療法など、いろいろな教育論や方法論などがあります。でも、○○論や○○法がそのまま一人一人違う子どもたちにそのまま当てはまることはないと思っています。
担当した目の前の子どもと向き合い、この子は「なぜ、うまくできないのかな?」「先生の教え方が悪いからかな?」など、「なぜ、どうして」を掘り下げて行った時に、子どもたちは「成長」という形で「ピンポーン、先生正解」と言ってくれていると感じることがあります。
教師(指導者)が育った時に子どもたちも育つ、そして、その育ちを見守る周りの保護者や仲間の教員(指導者)も渦に巻き込まれるように育つ「共育」を目指し、日々奮闘していきますので、どうぞお付き合いください。
植竹 安彦(うえたけ やすひこ)
東京都立城北特別支援学校 教諭・臨床発達心理士
肢体不自由教育からの視点を中心に、子どもたちの発達を支えるために日々できることを一緒に考えていきたいと思います。
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