2012.10.02
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

フリック入力にチャレンジ!?

北海道札幌養護学校 教諭 郡司 竜平

フリック入力

11期最後のアップになりました。

これまでできるかぎり特別支援教育におけるICTの活用をメインに更新させていただいてきました。

皆さんのニーズにマッチしていたかはなかなかわかりませんが、閲覧していただいた方々ありがとうございました。

 

11期最後の記事は「フリック入力」についてです。

 これは、以前担当していたお子さんが、担任が替わり、小学部高学年になった時に取り組んでいるのを見させていただいた時に「今後必要になってくるスキルの一つ」と強く感じていました。

 そのお子さんは発語がなかなかうまくできないのですが、内言語はとても豊富で、表出の支援ツールがあれば、いろいろなことを伝えることができます。実際に私が担当させていただいていた時は絵カードでのコミュニケーションでいろいろなことを伝えることができていました。先日、たまたま玄関でそのお子さんに会ったので、私のiPhoneを手渡すと実にいろいろなことをメモに入力して表出してくれました。久々にそのお子さんとの会話を楽しむことができました。

 他にもいろいろとコミュニケーションの代替手段はあります。このお子さんには文字で表出することで自分の思いを他者に伝えることが可能になり、コミュニケーションに関する不全感がなくなって、より豊かな生活につながっていると感じています。

 

 そこで、昨年度まで担当していた学年で、今年度は個別の学習の時間だけ関わらせていただいているお子さんの学習でもチャレンジしてみました。このお子さんは50音や低学年相当の漢字の読み書きはほぼマスターしているお子さんです。担任の先生がiPadなどを用意し、実際に使用する機会も多いので、操作も十分にできます。

 現在取り組んでいる漢字の学習で、わからない時は間違ってしまった時に先生にすぐ聞くのではなく、自分で調べ直してみるという機会を作りました。そこに大好きなiPhoneを組み込んだのです。私が想像する以上の速さで「フリック入力」をこなしました。まだまだ入力は確認しながらですが、その機能は十分にわかったようです。まだ、数回の指導ですが、もう一人で十分に使えるスキルの一つになりつつあります。もちろん、変換した漢字が正しいのか、読み方にあった漢字を選ぶことができるのか、など国語的な課題はありますが、「フリック入力」の視点で言えば、使う動機づけも十分にあり、繰り返し練習することで確実にスキルを上げられる場になり得ると思います。

 漢字学習に組み込むこと自体は、検討の余地がありますが、ここをスタートにしていろいろな入力を覚えていくきっかけになりそうです。

 将来的にキーボードでの入力を指導する必要性がありますが、今後子どもたちの身の回りですぐに使用するものの一つとしてスマートフォンは必須になるのではないかと考えた時に、この「フリック入力」を今からスキルとして身につけておくことは決してマイナスではないと考えます。

実際、子どもたちはとても柔軟に覚えますし、私なんかよりよっぽど速いスピードで入力できるようになります。

ゲーム性のあるもので練習するのもよいですが、学校という場では、学習と結びつけることでその効果をあげることを考えていきたいと思います。

 

以上で11期の記事を終わります。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。                  

 

郡司 竜平(ぐんじ りゅうへい)

北海道札幌養護学校 教諭
小学校支援級、通常級と担当させていただき、現在は札幌養護学校小学部にいます。ここでは、私が取り組んでいる特別支援教育におけるICTの活用について具体例を交えながらご紹介していけたらと考えています。

同じテーマの執筆者
  • 樋口 万太郎

    京都教育大学付属桃山小学校

  • 石丸 貴史

    福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任

  • 吉田 博子

    東京都立白鷺特別支援学校 中学部 教諭・自閉症スペクトラム支援士・早稲田大学大学院 教育学研究科 修士課程2年

  • 綿引 清勝

    東京都立南花畑特別支援学校 主任教諭・臨床発達心理士・自閉症スペクトラム支援士(standard)

  • 岩本 昌明

    富山県立富山視覚総合支援学校 教諭

  • 増田 謙太郎

    東京学芸大学教職大学院 准教授

  • 植竹 安彦

    東京都立城北特別支援学校 教諭・臨床発達心理士

  • 渡部 起史

    福島県立あぶくま養護学校 教諭

  • 中原 正治

    元徳島県立新野高等学校 教諭

  • 川上 康則

    東京都立港特別支援学校 教諭

  • 鷺嶋 優一

    栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭

  • 中川 宣子

    京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

  • 大吉 慎太郎

    大阪市立放出小学校 教諭

  • 髙橋 三郎

    福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士

  • 清水 智

    長野県公立小学校非常勤講師

  • 齋藤 大樹

    浦安市立美浜北小学校 教諭

  • 丸山 裕也

    信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭

  • 下條 綾乃

    在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師

  • 宮澤 大陸

    東京都東大和市立第八小学校

  • 渡邊 満昭

    静岡市立中島小学校教諭・公認心理師

  • 山本 優佳里

    寝屋川市立小学校

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop