2012.09.20
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

   

学校の花の写真です。

以前の記事で書いた栽培委員会やクラスの子どもと一緒に種を蒔いたアサガオやキバナコスモスの花が咲きました。

 

この夏は、雨が少なく、植物を維持するのに苦労しました。

9月16日現在、埼玉県北部の水源の一つである八木沢ダムは、貯水率が7%という状況です。

10%の取水制限も行われています。

 

そんな状況の中、子ども達が交代で水をあげ、育ててきた花々です。

この花々は地域の方が多く通る道に面しています。

小学校の花を楽しみにしてくれている地域の方々がいたら、とても嬉しいことです。

 

 

ところで、先日、「センス・オブ・ワンダー」という本を読み返しました。

科学教育においては、有名な本で、レイチェル・カーソンというアメリカの人が書いたものです。

その本には、人が自然と接することの意義が書かれています。

「子どもの世界は、生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激に満ち溢れており、子どもは、センス・オブ・ワンダー(神秘さや不思議さに目をみはる感性)を持っている。

しかし、人は大人になるにしたがって、澄み切った洞察力や畏敬すべきものへの直観力を鈍らせてしまう。

この子どもの素晴らしい感性は、大人がもつ倦怠、幻滅などへの解毒剤となる。

そして、「知る」ことは、「感じる」ことの半分も重要ではない。」

 

本を読んで、子どもたちの放課後の遊び方などについて考えてしまいました。

放課後、子どもは、よくDSやWiiなどのゲームで遊んでいます。

様子を見ていると、数人集まっていても、黙って、それぞれのゲームに夢中だったりします。

一緒に遊んでいる訳ではなく、ただ場所を共有している感じです。

バーチャルな世界の中で、暴力的であったり、過激であったりするゲームをしています。

また、小学校から中学、高校と年齢が上がっていくと、種々のネットゲームなどにはまっていきます。

そういった中で、ネットへの依存や経済的な問題、人とのコミュニケーションの問題など、難しい問題が発生するケースもあります。

 

 

レイチェル・カーソンが「センス・オブ・ワンダー」の中で述べている事とは、正反対の状況です。

子どもには、様々な形で自然に触れさせたいと思います。

山や海に行き、大自然に触れることが最も望ましいのだと思いますが、なかなかそういった機会を作るのも難しいです。

しかし、身の周りにも、たくさんの自然があります。

そこには、発見や驚きがあります。

 

子どもにそういった経験をたくさん積ませたいと思っています。

今、そうやったことが、その子どもの将来にきっと良い影響を与えるのだと思います。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop