この夏休みに家族でアメリカのボストンとワシントンDCを訪ねてきました。
上の写真は、左から、ワシントンDCにある航空宇宙博物館の展示、ボストンにあるMIT(マサチューセッツ工科大学)のライト兄弟の名前を冠した風洞実験室、ハーバード大学の構内です。
アメリカでの体験で感じたことについて書きたいと思います。
私が訪れたのは、東海岸のボストンとワシントンDCだったのですが、どこへ行っても中国人がたくさんいたことには驚かされました。
特に、ハーバード大学などの場所には、本当にたくさんの中国人がいました。
私は、大学生の頃から教員になって数年間、時間を見つけては、世界中の色々な所を訪れていました。
約20年前から15年位前になります。
多い時で年に5回位海外旅行に行っていました。
その頃、世界中のどんな街に行っても多くの日本人を見かけました。
特にアメリカにはたくさんの日本人がいました。
そういった頃の日本人と今の中国人が重なります。
その国の経済状態などが影響を与えているのでしょう。
ハーバード大学にいた若い中国人(中学生や高校生位の人もたくさんいました)は、ハーバードに来て学ぶことを強く願っているように見えました。
実際にハーバードを訪れたことを大きなモチベーションとして、猛勉強をするのでしょう。
アメリカへの外国人の留学に関して、日本人の割合が減って、中国人、韓国人の割合が増えているという報道を耳にしたことがあります。
今回、実際、自分の眼で見てみると、そういった状況がよく分かりました。
今の日本の学生は「内向き」なのだと言われています。
私は、なんとなくそういった態度が「引きこもり」と重なります。
不登校などになり、家から出ることができなくなった「引きこもり」です。
日本というそれなりに居心地の良い場所から出ることなく、学生時代を過ごす。
働き出してからも、海外勤務をしない部署を希望するといった感じです。
日本や世界の現状を見た時、「日本だけ」で、暮らしが成り立つ訳がありません。
エネルギー、食料など、暮らしの基盤は、大きく海外に依存しています。
そういった現状であるならば、積極的に世界と関わっていくことが求められます。
これは、企業活動だけでなく、学生の学びにおいても言えることです。
私は、小学校の教員なので、子どもが小さい頃から世界を強く意識させたいと思っています。
外国語活動が5,6年で必修になったのは、良いことだと思っています。
外国語活動の授業を行うには、様々な難しさがありますが、子どもが世界に目を向けていくきっかけになればよいと思っています。
次に話題にしたいのは、博物館、美術館の質の高さについてです。
ボストンやワシントンDCの街にある博物館や美術館の質の高さには、驚かされました。
特に印象深かったのは、ハーバード大学自然史博物館です。
一つの大学の付属機関とは思えない程の質の高さでした。
色々なカテゴリーに分けて、動物のはく製などが展示されていました。
アフリカの動物などは、初めて間近で見るものばかりでした。
日本の動物園では、距離感があるので、実物感があまりありません。
はく製でも、目の前で見ると迫力満点です。
展示の仕方が工夫されており、展示されている種類の多さも素晴らしい限りです。
展示は、動物などのはく製だけでなく、鉱物、化石など自然に関する様々なものがありました。
ハーバード大学の知の奥深さを感じさせられました。
ワシントンDCでは、有名なスミソニアン博物館群がありました。
こちらは、国が整備・運営しているものです。
こちらは、様々な博物館、美術館があるのですが、量、質とも圧倒されます。
特に興味深かったのが、アメリカの歴史に関するものです。
アメリカは、建国からまだそれ程たってなく、長い歴史のある国ではありません。
そういった経緯からも、歴史を大事にし、きちんと記録し、保存しています。
それらを上手に展示しています。
アメリカの博物館は、大人がわくわくするものがたくさんあります。
展示の方法も工夫されています。
アメリカの子どもは、こういったものを見て、刺激を受け、学びのきっかけにしているのでしょう。
うらやましい限りです。
最後は、アメリカの高等教育の質の高さについてです。
MIT(マサチューセッツ工科大学)では、整った設備の中で、学生が研究などに取り組んでいました。
環境が整っているというのがよく分かりました。
他には、ハーバード大学、エマニュエル大学、マサチューセッツ美術大学などを訪れました。
どの大学でも、建物の中に入り、中の様子を見たり、知り合いを訪ね、詳しく設備を見せてもらったりしました。
大学の先生から話を聞いたり、学生からも話を聞いたりしました。
また、現地に住んでいる知り合いの家を訪ね、そこの家のお子さん(高3、高1)からも話を聞きました。
日本の大学生が、早い時期から就職のために多くのエネルギーを使ったり、バイトやサークルなどに時間を使うのとは、違った状況でした。
学ぼうとする人が、どんどん学べるというのがアメリカの教育のようです。
高等教育がそのようなので、他の学校でも、それと似たものになっていることでしょう。
難しさもあります。
やる気のある人が学べるシステムでは、やる気のない人は落ちこぼれることを意味します。
アメリカでの格差は大きな問題です。
経済的なものの格差は日本よりも大きく感じます。
こうやって色々なシステムを見てくると、日本の教育システムの良い部分悪い部分が見えてきます。
教員は、様々なものに触れるべきなのだと思います。
海外旅行だけでないですが、異質なものに触れることで、ものごとの見え方が違ってきます。
若者の内向き志向ではありませんが、教員もつい無難な選択をしてしまうことがよくあります。
様々なものにチャレンジし、視野を広くし、より良い教育実践を心がけたいものです。

鈴木 邦明(すずき くにあき)
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。
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