2012.08.09
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2つの死 ~いじめでの自殺から考えたこと~

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

滋賀県大津市の中学生の自殺の問題は社会に大きな影響を与えています。

 

マスコミで大きく取り上げられて以来、毎日にようにそのことが話題にされています。

また、他のいじめに関する事件もよく取り上げられています。

急にいじめが増えた訳ではなく、マスコミが取り上げるようになったことで、世間に知られるようになったということでしょう。

学校で日々起きていることや教育委員会の実態を知ってもらえることは、よいことなのではないかと思います。

 

ところで、私のクラスでは、1学期の最後の授業で「いじめでの自殺」を扱いました。

「2つの死 ~自殺と震災~」という題です。

 

今回のいじめによる自殺と昨年の東日本大震災で多くの方が亡くなったことを比較しました。

一人の死と約二万人の死を比べながら、「死」そして「生きる」ということの意味について考えました。

そして、いじめの悲惨さ、防ぐことの大切さを考えることがねらいです。

 

子どもから出た意見

2つの死の共通点

・悔しい(本人、家族、知り合いなど)

・悲しむ人がいる

 

2つの死の相違点

・震災は自然が原因だが、自殺は自然ではない

・亡くなった人の数が違う

・地震や津波は避けられないが、自殺は避けられた

・地震や津波には、誰にも責任がないが、自殺は誰かに責任がある  など

 

子どもたちは、時に私が意図している以上のことを考えます。

 

教師の大事な役割の一つは、「子どもがしっかりと考えることのできる課題を設定する」ことなのだと改めて感じました。

少し難しい内容に関しても教師が丁寧に状況の説明をすることで、子どもは考えます。

時に、それがピント外れな答えになることもあります。

それは、それでよいのだと思います。

考えていく過程に意味があるのだと思います。

深く考える子どもは、先にも書いたように教師が思っている以上のことを考えます。

それがまわりの子どもにも良い影響を与えます。

 

社会において「いじめ」について、今までにない程、注目しています。

9月になり、学校が再開したら、多くの先生方に、是非とも「いじめ」そして「命」に関する授業をして欲しいと思います。

できれば授業参観などで行いたいものです。

親や地域も巻き込んで、議論を展開させていきたいものです。

 

夏休みの期間にしっかりと作戦を練って、休み明けにはよい授業をしたいものです。

 

よい夏休みをお過ごしください。 

 

 

授業で使ったパワーポイントの資料などを私のHPにアップしておきます。

興味のある方は、ご覧ください。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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