小学6年生の国語科で、「身近なコンピュータについて調べてみよう」という学習があります。先日、Aくんと、ここの個別学習を行いました。
ちょうど私が、ICレコーダーを手元に持っていたので、身近なコンピュータとしてICレコーダーについて調べてみようということにしました。AくんもICレコーダーには興味を持ってくれて、実際に自分の声を録音したりしました。誰でも経験あると思いますが、自分の声を聞くと、気持ち悪い感じというか、違和感を感じますね。そんな気持ちにAくんもなったようです。「もっとかっこいい声だと思ってた・・・。」
人が相手の話を受け取るときに、何を重要視しているかというと、話す内容より、話し方だと言われています。声の調子、話すスピード・・・「何を話すか」より「どう話すか」が重要だということですね。自分の話しているところをICレコーダーで録音して聞いてみると、まあなんとひどい話し方をしているのかがよくわかります。(私なんかは愕然とします!)
歌舞伎役者とか落語家とか、日本語を「どう話すか」極めているプロがいます。
彼らが、間をどのくらいとっているか。話すスピード、トーンはどうなっているのか。シチュエーションごとにどう違うのか。
このようなことに気をつけて聞いてみると、いかに話のプロたちの技術がすごいかがよくわかります。なんていったって、私たちも人前で話す仕事ですから、ここは学ぶべきところですね。
これまでこの話し方のスキルというものが、教職課程や授業研究などでも、あまり重要視されてきていませんでした。ですが、最近は、これらのスキルも重要視されてきたのでしょう。教職大学院でも先日、「どのように話すか」をアカデミックに言語化された授業がありました。
余談ですが、私が通っている教職大学院の先生で、一番「この先生の授業、好きだなあ。」と思う先生は話し方がとても上手な先生です。多少難しい話でも、先生の話し方次第で、なんとかついていこうと、そんな気持ちになるものです。
さて、このICレコーダー。上手く活用していけば、教師自身の話し方を高めていくことができるのではないでしょうか。
教師のスキル向上のツールとしてだけではなく、もちろんICレコーダーを子どもの個別学習に使うこともできます。私が先日、冒頭に述べたAくんとの個別学習では、Aくんに教科書を音読してもらい、それを再生して聞いてから、再度音読をするという学習をしました。
聞いた後の方が、Aくんの音読がとてもスムーズになりました。
耳から覚える音読。ある有名なハリウッドスターも、自身にLDの疑いがあり、台本を他の人に話してもらい耳から覚えたという話があります。
使えるものは使っていく、それが特別支援教育の考えでもあります。
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増田 謙太郎(ますだ けんたろう)
東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。
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