そろそろ春の運動会の時期ですね。特別支援学級の子どもたちにとって、春の運動会は、けっこうな負担だったりもします。運動会を楽しめるように、直接的、間接的な支援がどのくらいできるか、特別支援学級担任の腕の見せ所です!
(1)子どもの演技編
○技が決まったところのポーズを写真でとって、教材にする。(オススメ度☆☆☆)
特に組体操は、通常の学級と一緒だとスピードについていくことに努力を必要とします。ですので教材として、組体操の技を写真でとっておくと、けっこう使えます。校庭での練習の時も「次は5人組の扇!」と言いながら大きく拡大した写真を見せれば、子どもも次に何をやればよいか理解しやすいですよね。
(2)通常の学級との連携編
○通常の学級に「○○学級連絡係」を作ってもらう。(オススメ度☆☆)
運動会が近づくと、恒例の直前猛特訓(!?)が突然行われたりすることはよくあることです。「5時間目はダンスの練習になりました。」とか。
そこで、突然の変更にも対応できるように、連絡係を作ってもらうと便利な上、交流のきっかけともなります。
(3)学級内の連携編
○1時間ごとのシフト表を作る(オススメ度☆☆)
特別支援学級の子どもは、通常の学級の当該学年の種目に交じるのが一般的だと思います。そうなってくると、この練習期間は、練習に行く子どもと学級に残る子ども、先生も出たり入ったり、特別支援学級の教室は非常に慌ただしい毎日が続きます。
しかし、この練習期間も、ただ運動会の練習に飲み込まれるのではなく、しっかり学習の時間も確保していきたいものです。
誰がどこで何をするのか、自分の担当分だけでなくて、特別支援学級全体の動きが把握できるようなシフト表を作っておくと、この期間もスムーズに動けるようになります。
(4)保護者への連絡編
○見どころマップを作る(オススメ度☆☆☆)
まあ、これはサービスになってしまうのですが、あると喜ばれますね。
徒競走で何レースの何コースで走るのか。
演技の時に、だいたいどの辺で踊っているのか。
子どもから正確な情報が伝わりにくいのが特別支援学級の実態ですから、保護者にも情報が正しく伝わるような配慮が必要ですね。
(5)大人の仕事編
○運動会委員長を、特別支援学級から出す(オススメ度☆☆)
もちろんいろいろな学校内の人事条件が絡むことですが、もし若手の元気のいい先生が学級にいるのなら、どんどん学校全体に関わる仕事を、特別支援学級の教員も引き受けた方がいいと私は考えています。
このような仕事をする経験は、教師の力量を上げてくれます。それが特別支援学級のレベルアップにも繋がっていきます。

増田 謙太郎(ますだ けんたろう)
東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。
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