前回は朝の会の環境設定について書かせていただきました。そこで今回はその朝の会で活用中のアプリをいくつかご紹介できればと思います。
私が使用しているタブレット端末はiPadですのでiOSのアプリになります。視覚的な提示に用いるのは基本的にプレゼンテーション形式を使いますので、
keynote(http://itunes.apple.com/jp/app/keynote/id361285480?mt=8)を主に使っています。
蛇足になりますが本校では支援のベースの一つに視覚的支援がおかれています。詳しくは札幌養護学校 自閉症等への対応ガイドラインver.4 (http://www.sapporoyougo.hokkaido-c.ed.jp/)をご覧いただければと思いますが、このことにより多くの指導場面でプレゼンテーション形式による学習内容の視覚的な提示がされています。ですから多くの教員がプレゼンテーションデータを作成し、校内のサーバーによって共有し、それらを用いてさらに改善したデータを作成していく環境にあります。この朝の会のデータもそのようにして改善して作成したものを使用しています。
さて上掲の画像ですが、一枚目の画像は朝の会の進行表。まず全体のスケジュールを提示し、どのくらいの活動量があるのか、終わりがどこなのかを提示します。
二枚目の画像は出席確認の呼びかけ。全体のスケジュールを詳細にしたものです。ここでどのような活動があるのかを伝えます。言語だけの提示だけより視覚的な提示を組み合わせることにより、子どもたちへの伝わり方がよりよいものになります。
三枚目の画像は実際は呼名する子どもたちの顔写真と名前になります(ここではサンプルで私を使用しています)。今は一年生の初歩段階ですので、この画像と実際の私の呼名に応じて、呼ばれた子どもが前に出てきてアナログの自分の顔写真を受け取り、黒板の所定の位置に貼ることで一つの活動としています。この活動で通常学級で言うところの出席確認としています。これからの活動としては、呼名に応じてからiPadにタッチすることで次の友達を表示し、次の友達の写真カードを手渡す等して学級内での友達同士の関わり合いも活動に組み込みたいと考えているところです。
一枚目の画像の中に示されている「きょうの おたのしみ」では毎日子どもたちが楽しめるものを教師側で検討しながら子どもたちが提案された中からセレクトし、行う活動です。絵本の読み聞かせではアプリ「あかいまるちゃん」(http://itunes.apple.com/jp/app/akaimaruchan/id460338444?mt=8)を何度か使用しました。これは手指機能に課題があり、なかなか通常の絵本では上手にページをめくることができない子どもたちでもタッチするだけで絵本を読み進めることができるので、とても楽しみにしている子どもたちの姿がありました。そして心から楽しんでいる様子を見ることができました。また、4月の終わりから5月初旬には「こどもの日」に合わせて「こいのぼり」がいいのではと考え、アプリ「おやこでリズムえほん」(http://itunes.apple.com/jp/app/oyakoderizumuehon/id469322728?mt=8)の中から「こいのぼり」をセレクトして、子どもたちが順番に前に出てきてはiPad上でタンバリンやカスタネットをたたき、リズム打ちなどを楽しむことができました。
いくつかの例でしかありませんが、アプリを選ぶ際には、学習のねらいにそって、そのねらいに近づくためには、という視点を持って選ぶことが大切ではないかと考えています。余暇活動のみで使用するのであれば「楽しむ」ことが前提だけでよいかもしれませんが、学習として用いる際には、どのような学習効果があるのかという視点を絶えず持ちながら使用していくことが必要だと改めて考えているところです。
さて次はどのようなアプリでいきましょうか。
郡司 竜平(ぐんじ りゅうへい)
北海道札幌養護学校 教諭
小学校支援級、通常級と担当させていただき、現在は札幌養護学校小学部にいます。ここでは、私が取り組んでいる特別支援教育におけるICTの活用について具体例を交えながらご紹介していけたらと考えています。
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