「落語とは人間の業の肯定である」
昨年、他界された落語家の立川談志さんの言葉です。
「夏休みの宿題は計画的にやった方があとで楽だとわかっていても、そうはいかない。8月末になって家族中があわてだす。」
具体的に言うと、こういうこと。落語の世界だけでなく、学校でもまさにこれが日常ですね。子どもも、教師も。
人間の業を肯定したうえで、教育活動を行う・・・それが、一人一人を認めた教育なのかもしれませんね。そういう意味で、私たち教師は、人間についてもっともっと深く知る努力が必要でしょう。
特に、特別支援教育に携わっていると、陥りやすいのが、本来の子どもらしい姿を見失ってしまうことです。子どもの「業」の部分をどれだけ私たちが理解できているか、大事にしたいところです。
もうひとつ、立川談志さんの言葉を。
「芸は盗むものだと云うが、あれは嘘だ。盗む方にもキャリアが必要なんだ。」
先輩の授業のテクニックを盗めと、新人は教わります。でも、同じ事ですね。そう簡単に、自分のものになんかできない。
でもこの言葉の本当の意味は、キャリアを積んだ人間だからこそ、人のテクニックをどんどん盗んでいけると言っているのではないでしょうか。
参考文献 立川談春「赤めだか」扶桑社 2008
増田 謙太郎(ますだ けんたろう)
東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。
同じテーマの執筆者
-
東京都立白鷺特別支援学校 中学部 教諭・自閉症スペクトラム支援士・早稲田大学大学院 教育学研究科 修士課程2年
-
東京都立南花畑特別支援学校 主任教諭・臨床発達心理士・自閉症スペクトラム支援士(standard)
-
富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
-
北海道札幌養護学校 教諭
-
東京都立城北特別支援学校 教諭・臨床発達心理士
-
福島県立あぶくま養護学校 教諭
-
東京都立港特別支援学校 教諭
-
京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会
-
福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士
-
信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭
-
在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師
-
静岡市立中島小学校教諭・公認心理師
-
寝屋川市立小学校
-
目黒区立不動小学校 主幹教諭
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)