2012.01.17
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落語とは人間の業の肯定である

東京学芸大学教職大学院 准教授 増田 謙太郎

 読み聞かせ「落語とは人間の業の肯定である」

 昨年、他界された落語家の立川談志さんの言葉です。

 

 「夏休みの宿題は計画的にやった方があとで楽だとわかっていても、そうはいかない。8月末になって家族中があわてだす。」

 

 具体的に言うと、こういうこと。落語の世界だけでなく、学校でもまさにこれが日常ですね。子どもも、教師も。

 人間の業を肯定したうえで、教育活動を行う・・・それが、一人一人を認めた教育なのかもしれませんね。そういう意味で、私たち教師は、人間についてもっともっと深く知る努力が必要でしょう。

 特に、特別支援教育に携わっていると、陥りやすいのが、本来の子どもらしい姿を見失ってしまうことです。子どもの「業」の部分をどれだけ私たちが理解できているか、大事にしたいところです。

 

 

 もうひとつ、立川談志さんの言葉を。

 

 「芸は盗むものだと云うが、あれは嘘だ。盗む方にもキャリアが必要なんだ。」

 

 先輩の授業のテクニックを盗めと、新人は教わります。でも、同じ事ですね。そう簡単に、自分のものになんかできない。

 

 でもこの言葉の本当の意味は、キャリアを積んだ人間だからこそ、人のテクニックをどんどん盗んでいけると言っているのではないでしょうか。

 

  参考文献   立川談春「赤めだか」扶桑社 2008

増田 謙太郎(ますだ けんたろう)

東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。

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