「自立活動」ってご存じですか?
通常の学級の先生方にはなじみが薄い言葉かと思いますが、特別支援学校では「学校の教育活動全体を通じて」行う指導として学習指導要領に明示されています。
自立活動の内容は次の6点。
1.健康の保持
2.心理的な安定
3.人間関係の形成
4.環境の把握
5.身体の動き
6.コミュニケーション
ちなみに、私が教えている小学校の特別支援学級でも、今年度から、「自立活動」の時間を週1時間設定し、学年単位のグルーピングではなく、(上の6つの)どれがその子どもにとって必要な学習かという観点でグルーピングをして、指導を行っています。
たとえば、「人間関係の形成グループ(通称:にこにこグループ)」では、3分間に「か」のつく知っている単語をたくさん書き出して、グループの友達と勝負するというソーシャルスキルトレーニングの学習をしています。お互いの思いついた単語を認め合ったり、勝負を楽しんだり、時間内は集中したりと、グループの子どもたちが生活を送る上で必要な力を高めていくことができます。
・・・もしかして、「自立活動」は、特別支援学校や特別支援学級に通う子ども達だけでなく、通常の学級に通うすべて子ども達にとっても、今必要なキーワードなのではないでしょうか。いや、私たち大人にとっても。
「健康の保持」のために、たまにはジョギングをする。「心理的な安定」のために、睡眠時間は確保する。「人間関係の形成」のために、メールにはなるべく早く返事を返す。「環境の把握」のために、ICTも積極的に活用する。「身体の動き」のために、姿勢良くなるよう気をつける。「コミュニケーション」のために、なるべくゆっくり話す(私、すごい早口なので)。私もそうやってようやく、自立できているのかも。
6点の内容、まさに「生きる力」!
増田 謙太郎(ますだ けんたろう)
東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。
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