2011.12.14
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子どもが意欲的になる持久走の学習

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

  

12月の中旬になり本格的に寒くなってきました。

寒くなってくると学校では、持久走大会や持久走の練習が行われることが多いです。

 

持久走は体育の中で子どもに嫌われているものの代表格です。

そこでお勧めなのが「ミニ駅伝」と名付けた練習法です。

(上の写真は左が「持久走大会」、中央と右が「ミニ駅伝」のものです。)

 

一般的に、子ども達は持久走や持久走大会が好きではありません。

持久走の練習は、盛り上がりませんし、嫌々取り組んでいるのが見ていてわかります。

そこで、テレビなどで見かける「駅伝」の手法を真似てやってみたのが「ミニ駅伝」です。

 

「ミニ駅伝」を簡単に説明すると、リレーの距離が長いバージョンのですが、少しアレンジを加えています。

よく取り組んでいる2つのパターンを紹介します。

 

「ミニ駅伝 その1」

校庭のトラック(約200m)を9周を走るとします。

持久力に自信がある子どもは一人で9周を走ります。

二人組で走る人は一人4周半です。

三人組で走る人は一人3周です。

何人組にするかは自分たちで決めさせます。

始めのうちは、速い子どもが3人集まって、圧勝したりしますが、やっていくうちにほどほどに力が分散されていきます。

苦手な子どもにとって、3周走ることでも十分練習になりますし、得意な子どもは9周でよい練習になります。

 

「ミニ駅伝 その2」

こちらは上のものよりもより実際の駅伝に近いものです。

まずクラスを4グループくらい(1グループ8~9人)に分けます。

走る人数は、一番多いグループの数にします。(一人少ないグループは誰かが二回走ります。)

コースはトラックなどでもよいのですが、それ以外で周回できるもの(校舎の周りなど)の方がより雰囲気が出ます。

そして、1,2,3人目は短めのコース、4,5,6人目は中くらいのコース、7,8,9人目は長めのコースを設定します。

4年生の私のクラスでは、短めのコースを300m、中くらいを500m、長めを800m位に設定しました。

やり方を説明してから、自分たちで順番を決めさせます。

話し合いはなかなか興味深いです。

グループで準備体操やアップをさせてから、スタートします。

スズランテープで各色のタスキを作れば、なお盛り上がります。

 

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「ミニ駅伝」のポイントは、子どもに応援団がいるということです。

苦しいときに「がんばれ!」と声をかけてくれる仲間がいます。

通常の持久走の練習では、自分一人での戦いです。

この「ミニ駅伝」では、苦手な子どもほど、応援してくれる仲間がいます。

その声援でがんばることができ、持久力が付いていきます。

得意な子どもは長い距離を走り切った充実感がありますし、苦手な子どもは仲間と頑張った充実感があります。

 

私が一緒に組んでいる学年主任が子どもの前で、持久走について次のような話をしていました。

「持久走では 1.筋肉 2.心肺 3.精神力(心)、これら3つの育ちがある。」

 

「ミニ駅伝」も含めた持久走の学習の中で、子ども達には、様々な育ちをしていってほしいものです。

 

 

※持久走の学習についての実践などをまとめた私のホームページがあります。興味のある方はご覧ください。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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