2011.11.16
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

「流星ボール」で投力アップ!

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

  

今回は、子どもの投力の育成についてです。

 

先日、子どもの体力低下が大きな問題とされ、様々な対策が取られているということを書きました。

文科省は、「体力向上ホームページ」を作ったり、チラシを配布したりしています。

 

低下している体力の中でも「投げる力」は特に落ちているものの一つです。

三間(仲間、時間、空間)の減少など、環境の変化で、遊びの中で、ものを投げる機会が減っていることが原因と考えられています。

 

そのような状況を踏まえて、数年前、一緒の学校にいた事務職と二人で、開発した教具が「流星ボール」です。

 

左の写真の上部に流れ星のように見えているものが「流星ボール」です。

野球ボール大のゴムボールに1~2mほどのスズランテープを付けたものです。

今まで私が考えた中では相当いい出来のものです。

 

ところで、子どもが上手にボールが投げられるようになるにはいくつかの段階があります。

・手首だけで投げる

・ひじと手首で投げる

・肩とひじ、手首で投げる

・体幹と肩、ひじ、手首で投げる

・下半身と体幹、肩、ひじ、手首で投げる

 

昔は、子どもが外で遊んだりしている中でそういったものを自然に身に付けていっていました。

今の子どもは、そういった経験をしていない子どもも多く、投げる力が低下していったと考えられます。

対策としては、楽しみながら投げる経験を増やしていくというものが最も適しています。

鬼ごっこ同様、「楽しさ」が、キーワードになるでしょう。

細かい技術を教えるよりも楽しみながら取り組めるような環境を作ることがよいです。

投げる経験の少なかった子どもも流星ボールを投げることを楽しみながら、上達していきます。

先行研究でも、投げる力は、投げる機会さえ作っていけば、伸びていくとされています。

 

この教具のすぐれている点は次の通りです。

・上に投げることを意識できる

・軌跡をみることができる

・安価である

・安全である

・レベルが変えられる(ひもの長さで調整します)

・楽しい

 

学校で使う教具は、安価である必要があると考えています。

教育効果が高くとも、教具が高価であっては、直接的、間接的に子どもの負担となってしまいます。

 

「流星ボール」は、市販はしていませんので、ご自分で作成してください。

子どもでもすぐできます。

いろいろな色のスズランテープを使うと本当に流れ星や虹のようできれいです。

ボールは100円ショップのもので十分です。

しかし、10個入りのもの(1個10円)ですと、軽すぎて、うまくいきません。

3個入りのもの(1個33円)が重さが適当なようです。

クラスの人数の半分あればよいので、1クラス分が500円程でできます。

とてもおすすめです。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop