2011.11.22
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ダンドリのカタマリ・・・それは学芸会

東京学芸大学教職大学院 准教授 増田 謙太郎

劇団かみーず

 教師の仕事は、とてもクリエイティブな仕事。何かを作りあげるという仕事がとても多いですよね。

 

 勤務する小学校では、学芸会の準備が始まっています。学芸会は私の大好きな行事のうちのひとつです。ワクワクしています。

 

 私は5年ほど前まで、地域の子どもたちの劇団を主宰していました。教員生活の若手時代の全てのパワーを注入したといってもいいほどです。 

 

 私は、「多くの人のいろいろな力が結集されて作られる」ところに、演劇の魅力を感じています。

 

 舞台上で演技をし観客を魅了する「役者」。

 物語をセリフで表現する「脚本家」。

 役者の魅力や物語の面白さをどうやって観客に伝えようかを考える「演出家」。

 音楽で場のイメージを作り上げる「音楽家」、演技指導のコーチ、歌のコーチ、ダンスのコーチ、照明担当、音響担当、メイク担当、衣装担当、デザイン担当・・・さまざまな力の結集がひとつの舞台には込められています。

 

 学芸会というのは、劇を作るわけですから、これらの多方面の力の結晶なのです。

 

 言い方を変えれば、学芸会でしか、こんなにもたくさんの力の結集はできないのです。

 

 学力の向上、授業時間の確保、行事の精選、教師への負担等々、学芸会のような負担のかかる行事は縮小されていく一方ですが、こんなにも多くの要素のことを積み上げて作られる行事は他にないでしょう。

 言うなれば、壮大なダンドリのカタマリの行事です。

 

 どれだけダンドリができるか。教師は、その力が試されるわけです。

 

 考えてみれば、日々の授業だってダンドリ力なしには組み立てられません。

 教材準備から始まって、指導計画、授業の展開、時間配分・・・。

 授業の上手な教師って、実はダンドリ力に優れた教師なのかもしれませんね。

 

 特に、特別支援教育では大事にしたいキーワードです。

 ダンドリの悪い授業は、子どもたちの注意力がそれてしまいます。

 

 学芸会を恐れる無かれ。ダンドリ力の修行の場だ!

増田 謙太郎(ますだ けんたろう)

東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。

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