通常学級に巡回にうかがい、一つのクラスにとどまってじっくりと子どもたちの行動を見ていると、周りの子どもがやっていることを見て、見よう見まねで動く子にしばしば出会います。
もう少し細かく行動の特徴をとらえようと見ていると、実にいろいろなことが分かってきます。共通しているのは、(1)先生の指示(特に一斉指示)を聞きとって理解することができていない、(2)周りの子がすでに動き出しているのにワンテンポ遅れてしまう、(3)なんとか自分なりに状況を読み取って行動しても、理解が不完全なため間違ったやり方をしていることが多い、(4)「それは違うよ」と周りの子から指摘されても、間違っていることに気づけない・・・といった、どうやら困惑しているなと感じられるような様子です。まとめると「(学年相応に)臨機応変に対応することが難しい」と整理できると思います。
ところが、こんな子は、担任の先生から「気になる子」としてリストアップされていないことが多いのです。先生やコーディネーターの先生にその理由を確認してみると、大抵、このような返答が返ってきます。「特に、困っていないので・・・」
よく見ると、確かに困っていないように見えることもあります。クラスメイトの中に気配りがよくできる子がいて、さっさと手伝ってもらっていたり、やり方を教えてもらっていたりしているのです。でも、決してちゃっかりしているというのではなく、むしろ周りの子のほうがもどかしく感じて、つい手を出してしまっているような印象を受けます。
私が見てきた限りで言えば、集団行動上のつまずきに加えて学習上のつまずきも大きく、特に書かれた文字の乱雑さなどの課題を併せ有していることが多いように思います。
竹田契一監修、太田信子・西岡有香・田畑友子著「LD児サポートプログラム -LD児はどこでつまずくのか、どう教えるのか」(日本文化科学社)によれば、周りの条件に合わせて臨機応変に行動したり、発言したりするためには、複数の新しい情報を選択・整理する情報処理能力や、判断力、決断力が要求されるといいます。臨機応変に動けないという様子が、すでに、情報を選択・処理・整理する力の弱さを示していると考えたほうがよいと思います。
情報処理の力が弱い場合でも、課題の理解にゆっくり時間をかけたり、決定するさいの選択肢を絞ったり、ペースが合う(または似たようなペースの)友だちとともに行動したりすることで、自分なりに対応しやすくなります。
臨機応変に動けない子は、確かにクラスの中では目立ちません。担任の先生としては衝動性が高い子や乱暴な子など、いわゆる目立つ子に目が行きがちです。だからこそ「特に困っていない」という表現になってしまうのだろうと思います。しかし、「困っていない」の主語はあくまでも「大人」サイドのことであって、本当はその子自身が最も困っているはずなのだと理解すべきではないでしょうか。
もう少し細かく行動の特徴をとらえようと見ていると、実にいろいろなことが分かってきます。共通しているのは、(1)先生の指示(特に一斉指示)を聞きとって理解することができていない、(2)周りの子がすでに動き出しているのにワンテンポ遅れてしまう、(3)なんとか自分なりに状況を読み取って行動しても、理解が不完全なため間違ったやり方をしていることが多い、(4)「それは違うよ」と周りの子から指摘されても、間違っていることに気づけない・・・といった、どうやら困惑しているなと感じられるような様子です。まとめると「(学年相応に)臨機応変に対応することが難しい」と整理できると思います。
ところが、こんな子は、担任の先生から「気になる子」としてリストアップされていないことが多いのです。先生やコーディネーターの先生にその理由を確認してみると、大抵、このような返答が返ってきます。「特に、困っていないので・・・」
よく見ると、確かに困っていないように見えることもあります。クラスメイトの中に気配りがよくできる子がいて、さっさと手伝ってもらっていたり、やり方を教えてもらっていたりしているのです。でも、決してちゃっかりしているというのではなく、むしろ周りの子のほうがもどかしく感じて、つい手を出してしまっているような印象を受けます。
私が見てきた限りで言えば、集団行動上のつまずきに加えて学習上のつまずきも大きく、特に書かれた文字の乱雑さなどの課題を併せ有していることが多いように思います。
竹田契一監修、太田信子・西岡有香・田畑友子著「LD児サポートプログラム -LD児はどこでつまずくのか、どう教えるのか」(日本文化科学社)によれば、周りの条件に合わせて臨機応変に行動したり、発言したりするためには、複数の新しい情報を選択・整理する情報処理能力や、判断力、決断力が要求されるといいます。臨機応変に動けないという様子が、すでに、情報を選択・処理・整理する力の弱さを示していると考えたほうがよいと思います。
情報処理の力が弱い場合でも、課題の理解にゆっくり時間をかけたり、決定するさいの選択肢を絞ったり、ペースが合う(または似たようなペースの)友だちとともに行動したりすることで、自分なりに対応しやすくなります。
臨機応変に動けない子は、確かにクラスの中では目立ちません。担任の先生としては衝動性が高い子や乱暴な子など、いわゆる目立つ子に目が行きがちです。だからこそ「特に困っていない」という表現になってしまうのだろうと思います。しかし、「困っていない」の主語はあくまでも「大人」サイドのことであって、本当はその子自身が最も困っているはずなのだと理解すべきではないでしょうか。

川上 康則(かわかみ やすのり)
東京都立港特別支援学校 教諭
障害のある子どもたちの指導に携わる一方、特別支援教育コーディネーターとして小中学校を支援してきました。教育技術の一つとしての「特別支援教育」を考えていきます。
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