2008.10.03
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フライングディスク大会

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭 岩本 昌明

9月21日にフライングディスク大会がありました。
参考:富山県障害者フライングディスク協会HP http://ameblo.jp/toyamafd/page-1.html

「アキュラシー」と「ディスタンス」の2種目がありました。「アキュラシー」の中にも、5mと7mの2区分がありました。ゴールまでの距離は、ディスリート・ファイブ(5m)とディスリート・セブン(7m)があります。5mや7m先の輪にめがけて投げる違いがあります。実は来年の全国障害者スポーツ大会(新潟ときめき大会)の予選を兼ねているようです。今年は開催中の大分の国体の後に開催される予定になっています。

「ディスタンス」とは、とんだディスクの距離を競う種目で、3回投げたディスクのなかで、一番遠くまで飛んだディスクの距離を競いました。生徒のディスク拾いをかねて練習に参加しました。思いの外遠くへとばすことは容易ではありませんでした。力まかせだけでは距離が伸びないのです。投げるときの手首のスナップやディスクの出し方もなるべく地面に平行に出すとか、いろいろと基本的なテクニックがあることも知りました。中には30mを超す距離を出す生徒もでました。

「アキュラシー」とういのはディスクを正確に的である輪に投げることができるかを競う種目です。5m先におかれている大きな輪(91.5cm)に、10回投げて、何回入るかを競います。視覚障害者の場合は、審判が輪の後方3mから音源を出します。その音のするところを目がけて投げます。音源だけで投げるよりも、自分が立つ位置と日頃からの投げ方に、成功の有無が委ねられることになります。7投を成功させて、出場した組で1位となった生徒がでました。素晴らしいことです。皆さん、目を閉じて競技をしている姿を想像して下さい。どれほど難しいことなのか想像つきますでしょうか。私たちは無意識のうちに目でみて、距離を感じ、それに伴った肩の筋肉や腕の力を入れ、手首をひねって的へ向けて投げているのです。投げる動作ということが、なんと目からの情報で加減されているかに気づくのです。

参加者に賞をとってもらうことも、一つの《モチベーション》・《やる気》と結びつくようです。6人一組で、その中で、順位が決まります。50組以上の試合がありました。年齢による組分けをするのが特徴です。それぞれに1位や2位や3位とそれ以外の敢闘賞が与えられます。将棋や囲碁などで、少人数の組に分け、その中で順位が決まるのと類似するものです。大勢の参加があっても、多くの方に1位や2位のチャンスがあり、入賞に手の届きそうだと感じるので、意気込みも高まると思いました。他人との競争という部分と自分の記録更新をねらう部分がかみ合っている競技ならではかもしれません。賞を多く用意しなければならないスポンサー面での難点があるのが課題かもしれません。

参加者総数は200名を超えていたようです。競技自体も障害の程度に大きく影響も受けずにすむのです。特別支援学校の生徒に限らず、市町村からの一般障害者の方々も非常に多く参加しておられました。毎年の参加を楽しみにしているような和やかな会場の雰囲気に、引率者として、生憎の雨天ぎみの日ではありましたが、心地よい秋の一日を過ごすことができました。「勝つこと」も大切ですが、「参加する」ことの喜びを第一に考えているのはうれしかったです。

選手たちだけでなく、フライングディスクという競技への取り組みを支えている審判の一挙手一頭足にも目が向きました。私は陸上の公認審判の資格をもっているので、初めて見るフライングディスクの競技のおもしろさに加えて、審判の方々の服装や決まり言葉や動作にも興味があり、つい眺めていました。比較的20代の方が多く、それも福祉関係の大学生かまたは福祉施設の職員らしき雰囲気(?)の方々のように見受けました。まだまだ若い競技でこれから裾野が広がっていくのが楽しみなような気がしています。近いうちに私も公認審判の資格を取得して、競技をされる方々の支援に関わるようにしたいと思います。障害者だけでなく一般のフライングディスク大会もあるようです。みなさんも始めてみませんか。

前回の「芸術の秋」に加え、今回は「スポーツの秋」を考えてみました。スポーツをする。スポーツを見る。スポーツに関わる。スポーツに関心を持つ。私のようにスポーツを身近に感じる。本当に様々な形でスポーツに関わることができると思いました。メタボ対策という形而下的なことでないスポーツはいかがでしょうか。
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岩本 昌明(いわもと まさあき)

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
視覚に病弱部門が併置された全国初の総合支援学校。北陸富山から四季折々にふれて、特別支援教育と英語教育を始め、身の回りに関わる雑感や思いを皆さんと共有できたらと願っています。

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