2008.06.26
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特別支援教育とは「実践」である。

東京都立港特別支援学校 教諭 川上 康則

「実践の場から」のコーナーにおいて、最新記事【特別支援教育の現状と課題 ~教師と保護者が本音で語る「現場の悩み」~】が公開されました。

前回、特別支援教育について学びの場.comで取り上げていただいたのは2007年6月27日でしたので、ちょうど1年ぶりの特集記事になります(前回のタイトルは、【知っておきたい「特別支援教育」の基礎知識 ~一人ひとりのための教育支援を実現する手立て~】でした)。

記事の監修者として参加させていただきましたが、今回は立場の違いを超えて現状や課題を語りあう座談会の形式をとり、現場の先生や保護者の方に集まっていただきました。参加された皆さんが、それぞれ実体験の中から感じたことを大変率直に語ってくださっています。もちろん、実際の経験から導出されているため現状のすべてを物語るものではありませんが、こうした一つひとつの事実から、読者の皆さんご自身の取り組みを見つめ直すことができるかもしれません。ぜひ、今、特別支援教育を身近な課題としていらっしゃるすべての方に読んでいただきたいと思います。

http://www.manabinoba.com/index.cfm/6,10075,14,1,html

この座談会は、改めて、「誰のための特別支援教育か」を再確認する機会になったと思います。本来であれば、「当然、子どものための特別支援教育でしょう!」と声を大にして言いたいところですが、現状としては、通常学級での特別支援教育はまだまだ「担任支援」の色合いが圧倒的に濃いと思います。担任の先生方が、子どもの行動の理由をよりつかみやすくするために、うまく回っていなかった教育活動をより充実させるために、そして、保護者との関係づくりをより円滑にするために、特別支援教育は必ずや寄与するはずです。

座談会に参加してくださったG教諭やJ教諭は、特別支援教育の奥深さを主体的に享受した先生方の代表です。その一方で、Uさんのように、わが子が特別支援教育に“支配”される現実を悲痛な面持ちで眺めざるをえない保護者の方がたくさん残されたままでいます。

特別支援教育はもはや、理念でも、システムでもありません。特別支援教育は、実践です。

川上 康則(かわかみ やすのり)

東京都立港特別支援学校 教諭
障害のある子どもたちの指導に携わる一方、特別支援教育コーディネーターとして小中学校を支援してきました。教育技術の一つとしての「特別支援教育」を考えていきます。

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