教育実習生がやってきた!
今年度は実習生がクラスに配属され、自分は国語科を子どもたちには指導しないものの実習生とともに国語科の授業を考える機会をいただきました。
ここ数年、あまり国語科の授業については深く考える機会がなかったので教育実習での指導は大きな学びをもたらしてくれました。
ある先輩の先生にこんなことを言われました。
「はぶっちゃんは外国語の教え方が活かされた他教科の指導ができているよね」
言われた時は全く意味がわかりませんでしたが、何年か経験するうちにそれぞれの先生が得意とする教科を根っことした授業が存在することに気づき始めました。
「根っこ」となる部分とは?
その根っことなる部分は何だろうと考えていると、やはり「アレ」にたどりつくのです。
「アレ」とは「見方・考え方」です。
「見方・考え方」は各教科でも大切な根っこの部分です。
根っこの部分であることに気づいてからは、「見方・考え方」を意識して授業づくりをするようになりました。
では、外国語だけではなく他教科ではどのような記述になっているのでしょうか?
そもそも「見方・考え方」とは?
そもそも「見方・考え方」ってなんだろう?という感じですよね。よく言葉としては聞くものの、あんまり実感が湧かないというのも本音だと思います。
各教科等の「見方・考え方」は,「どのような視点で物事を捉え,どのような考え方で思考していくのか」というその教科等ならではの物事を捉える視点や考え方である。各教科等を学ぶ本質的な意義の中核をなすものであり,教科等の学習と社会をつなぐものであることから,児童生徒が学習や人生において「見方・考え方」を自在に働かせることができるようにすることにこそ,教師の専門性が発揮されることが求められること。『小学校学習指導要領解説 外国語活動・外国語編』第1章総説
つまり、その教科でしか味わうことができない、教科の醍醐味ですね。
外国語科と国語科で比べてみましょう。
外国語科
「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方」とは,外国語に よるコミュニケーションの中で,どのような視点で物事を捉え,どのような考え方で思考していくのかという,物事を捉える視点や考え方であり,「外国語で表現し伝え合うため,外国語やその背景にある文化を,社会や世界,他者との関わりに着目して捉え,コミュニケーションを行う目的や場面,状況等に応じて,情報を整理しながら考えなどを形成し,再構築すること」であると考えられる。『小学校学習指導要領解説 外国語活動・外国語編』
国語科
言葉による見方 ・ 考え方を働かせるとは,児童が学習の中で,対象と言葉,言葉と言葉との関係を,言葉の意味,働き,使い方等に着目して捉えたり問い直したりして,言葉への自覚を高めることであると考えられる。『小学校学習指導要領解説 国語編』
多少無理矢理な感じがあるかもしれませんが、様々な関係の中で「言葉にこだわる」というのは外国語科や国語科、同じ言語を扱う科目としての共通点であるはずです。
国語科の授業の中でも教科書と児童、読書と児童、児童と児童、児童と指導者という関係の中で言葉にこだわろうという目標を立てることができました。
教科が違っても…
目標を立てたものの、やはり教科が違うと自分の意識の中でも色々と変えないといけない部分もあります。
教科が違っても自分が大事にしている部分はどうしても変えられません。
それは、学習することで「目の前の世界をちょこっと変えられる」です。
外国語科の学習では、英語を使って何かできることを目指しています。台湾の小学生とも交流をしていますが、英語を使って相手(話し相手、聞き手、読み手)を楽しませることを年間のゴールとしています。
このように児童が目の前の世界を少しでも変えよう、変えられるような経験を大事にして授業デザインをしています。
では、国語科では?
何度も担任として苦戦してきた「やまなし」。
実は私自身も教育実習で「やまなし」と格闘しました。(うまく授業をできた記憶は1つもない…。)
実習生と話し合いを重ねるなかで、「宮沢賢治作品のポップづくり」や「新しい図書室に宮沢賢治コーナーを作る」ことで児童が目の前の世界をちょこっと変えられることをゴールとして設定しようと決まりました。
ゴールに向かう途中で「言葉にこだわり」ながらやっていこうという共通理解のもと、毎回魅力ある授業に取り組んでくれました。
まとめ
新たな出会いが新たな気づき、学びをもたらしてくれました。
他教科に取り組むことで得られる視点が新鮮でした。
教科担任制や専科教員が増えていく中ですが、同じ学年の学習内容を「横」に見ることが指導にも活かせるかもしれませんね。
- 文部科学省 (2017). 『小学校学習指導要領解説 外国語活動・外国語編』開隆堂出版
- 文部科学省 (2017). 『小学校学習指導要領解説 国語編』東洋館出版

羽渕 弘毅(はぶち こうき)
西宮市教育委員会 勤務
専門は英語教育学、学習評価、ICT活用。高等学校や小学校での勤務経験を経て、現職。これまで文部科学省指定の英語教育強化地域拠点事業での公開授業や全国での実践・研究発表を行っている。働きながらの大学院生活(関西大学大学院外国語教育学研究科博士課程前期)を終え、「これからの教育の在り方」を探求中。自称、教育界きってのオリックスファン。
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