2020.08.12
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保護者面談で大切にしたいこと

夏休み中に保護者面談を行う学校も多いのではないでしょうか?また、時期に関わらず、どの校種においても保護者の方と面談する機会はあると思います。そんなときに大切にしたいことについて、自分が考えたことを書いてみました。

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭  山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路

目的を明確に

クラスや学年で面談を企画する場合もあれば、学校全体の日程の中に面談期間が組み込まれている場合もあると思います。全員と実施するとなると、こちら側の日程調整も大変ですが、保護者の方にしても仕事を調整して学校に行くことになるので負担は小さくありません。特に高校の場合は遠方から通学している生徒もいるので、なおさらです。

お互いにそれなりの労力を割きながら実施しているわけなので、「何のためにやってるの?」というのは非常に重要だと思います。「毎年やってるから」「顔合わせのため」といったことだと、せっかく来ていただいた保護者の方も「??わざわざ来る必要あった??」と思われることも多いでしょうし、教員側としてもメリットが少ないでしょう。

まずは自分の中での面談の目的を明確化して、それを生徒や保護者の方にも理解してもらうことが大事だと思います。学校の様子と家庭の様子を情報交換するだけなのか、何らかの話題について家庭で話してきてもらった内容を聞き取るのか、生徒でなく保護者の方に直接伝えるべきことを伝えるのかなど、様々なスタイルがあり、その内容も学習や進路、生活など、多岐に渡ります。どこに重点を置いた面談なのかを明確にすることで、保護者の方も面談に向けて様々な準備をすることができると思います。

一番避けたいのは、面談で初めて何かを伝えて、その場で意見を述べてもらうとか、「今後、家庭で・・・」といったやり方です。これだと、その後どうなったのか?を保護者の方から聞けなくなってしまうので、せっかくの面談がもったいない気がします。できれば、事前に面談の内容や家庭で話し合っておいてほしいことを伝えておき、面談で質問を受けたり、家庭での話し合いの状況を聞くことで、前に述べた例よりも話を先に進めることができます。また、日頃あまり保護者の方と話をしないという生徒もいますが、面談をきっかけに生徒と保護者が話をしてもらうこともできます。

根底にある想いを

保護者の方と話をしていて、程度の差こそあれ、クレームや理不尽な要求、突飛すぎる主張と感じる方もいるかもしれません。しかし、そこで「ダメだ、分かってないな」などと拒絶してしまっては、保護者の方の根底にある想いをくみ取ることはできません。一見すると的外れのような主張であっても、よくよく話を聞いてみると、家庭での生徒の様子やこれまでの生育状況から、あれこれ悩まれた末の主張ということもよくあります。

生徒に限りませんが、人には様々な一面があるもので、学校で私たち教員に見えている部分もあれば、家庭でしか見えない部分、友達の前でしか見えない部分などがあるはずです。教員から見えている部分や学校での常識だけで判断して、話を受けつけないような姿勢で臨むのはよくないということです。もちろん、どんな経緯があるにせよ、最終的にそうした主張を受け入れないということもあるわけですが、その根底にある想いを理解することは重要だと思います。

学校ですべきことの責任転嫁はNG

生徒の成長のために学校と家庭が連携することは重要で、そのためにも保護者面談は有効であります。しかし、学校ですべきこと、家庭ですべきこともあるわけで、特に本来は学校で指導すべきことを愚痴のように保護者の方に語ってしまうのはよくないと思います。宿題を出せない、授業に集中できない、友達とケンカしたなど、必要に応じて面談でも話をするわけですが、それが「あなたのお子さんは、学校でこんな悪いことをしてるので、家でもしっかり言ってください」的な言い方はよくないということです。

何らかの問題があったときに情報共有して、原因を探るのは必要だと思います。例えば、宿題ができない原因が家での生活リズムにあるとか、授業に集中できない原因が家庭でのトラブルにあるといった場合もあるからです。しかし、そういった家庭での様子とは無関係に、単純に学校での指導上の問題という場合もあります。

「お土産」も大事

「お土産」というのは、面談に来た保護者の方に何か持ち帰ってもらうものを準備しておきたいということです。お土産というくらいですから、もらって嬉しいものでないとダメです。

具体的には授業やHRなどで取り組んだ制作物や書いた文章、集合写真、面談で持ち帰ってもらうために作成した学級通信、頑張っていることの情報といったものが考えられると思います。生徒がつくった作品などは高校生の場合はなかなか見る機会がないので、良いお土産になると思います。また、学級通信については、進路の面談などの場合に、役立つ情報や保護者の方からよく寄せられる要望に対する回答などをまとめた通信をつくってみるのも良いかもしれません。

いずれにしても、せっかく来校していただくわけなので、こちらだけに収穫があるのではなく、保護者の方にとっても大きな収穫のあるような面談にしたいものです。

高橋 英路(たかはし ひでみち)

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭


クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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