2020.02.07
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「トーク・フォークダンス/大人としゃべり場」が全国密かに浸透中

今、全国各地で「トーク・フォークダンス/大人としゃべり場」実施の動きが生まれつつあります。とは言っても、「トーク・フォークダンス」って?「大人としゃべり場」って?  という方のために、その魅力を解説します。この記事を読んだら、あなたもきっと、やりたくなるはず!

東京都内公立学校教諭 林 真未

「大人としゃべり場」トーク・フォークダンスの様子(写真提供:ハンズオン埼玉)

トーク・フォークダンスってなに?

中学校の先生が名付け親

トーク・フォークダンスは、踊りではありません。フォークダンスのように、どんどん相手を変えて対話をする方法です。
円を描くように並べられた椅子の向かい側に、同じようにその椅子と向かい合わせになるよう、もう1周円形に椅子が並べられます。人々はそこに向かい合わせで座り、1分間ずつ対話をしたら、外側に座った人だけ左にずれていきます。
こうすると、どんどん新しい人と会話していくので、たくさんの人とコミュニケーションとることができます。たった1分とはいえ、お題を与えられて語り合うことで、驚くほど盛り上がる手法です。

お金? かかりません。必要なのは・・・

トーク・フォークダンスをするのに、全く費用はかかりません。
体育館や多目的室のような広い場所があって、多くの人が座れる椅子があればいい。だって、椅子を円形に並べて、そこに参加者が座ればいいだけなのですから。
ただし、必要なのは、ファシリテーターの存在。
場の緊張をほぐし、効果的な声かけをし、なにより、会話が弾むお題をタイミングよく投げかける。そんなファシリテーターが必要です。
まあ、トーク・フォークダンス自体が優れた対話の形なので、たとえ熟練のファシリテーターでなくても、「やっているうちに、場それ自体が熱を帯びてくる」(実践者 梅原達巳さん(のおがた未来カフェ ))とのことです。

いろんな場面で使えるかも

トーク・フォークダンスは、たとえば、学校で言えば、保護者会、新年度新旧職員顔合わせ、あるいは校内研究全体会など、大人同士の集まりでも実施可能です。講師がいらないので、自分たちの力だけで開催可能なのです。
ポイントは、トークテーマ。その場にふさわしく、しかも話したくなるようなお題を設定することが成功の鍵だそうです。
もちろん大人同士でも、トーク・フォークダンスの予想以上の効果を実感できるでしょう。しかし、一番のおすすめは、中学生と大人が向かい合わせで語り合う「大人としゃべり場」です。

「大人としゃべり場」って?

中学生と大人が出会い、語り合う

中学生と大人が語り合うトーク・フォークダンスの実践を、「大人としゃべり場 トーク・フォークダンスで語ろう」と名づけたのは、福岡県直方市の市民グループ、のおがた未来カフェ 。2013年のことです。
1分交代で、中学生と、地域のさまざまな大人たちが語り合い続ける。たったそれだけ。けれど、多くの方にひとかたならぬ影響を与えるプログラム。
参加者だった石橋裕子さん(佐賀県放課後児童クラブ連絡会 )は、地元に戻って積極的にこの活動を展開し始めるほど、感銘を受けたそうです。

高校生も。小学生も。幼児も。

石橋さんの、佐賀での実践は多様でした。
中学生と大人という設定にとどまらず、小さな村の小学校の1年生から6年生の子どもと大人だったり、あるいは、高校生も含んだ多世代のグループだったり。石橋さんのさまざまな実践は、どんな世代にもトーク・フォークダンスは可能だということを教えてくれます。
ただ、ファシリテーターは、参加者と関係の薄い第三者である方が、望ましいようです。

埼玉で、交流と研究の場が生まれる

次に、石橋さんからこの話を聞いたのが、西川正さん(ハンズオン埼玉 )。
西川さんも、さっそく仲間を誘って、埼玉県内の地元中学に数百人の大人を集め、「大人としゃべり場」を実施しました。
また最近では、実践者と実践したい人たちのための交流と研究の場である「大人としゃべり場/トーク・フォークダンスを語ろう」という会も開催されました。

 

魅力は語り尽くせない

実は、私は西川さんが集めた数百人の大人の一人でした。
照れながら、戸惑いながら、それでも、目の前の見知らぬ大人に誠意を尽くして、自分の思いを語ってくれた中学生の姿を、私も、いまだに忘れられません。実践者たちが一堂に会した、研究と交流の場でも、たくさんの宝石のような言葉に出会いました。
そんなたくさんの宝石から、少しだけここにご紹介します。

「輪になって交替しながら、わずか1分ずつ話すだけで、不思議と身体の内側から力が湧いてきます」(西川さん)
 
「制服を着た立派な大人が、自分の好きなおでんの具について一所懸命中学生に説明している。そんなのがいいんですよ」(石橋さん)

子どもたちには夢があります
子どもたちはしっかりと自分を持っています
子どもたちはしっかりと大人を見ています
大人が知らなかっただけなのかもしれません
「思い」は「ことば」になるのを待っています 
その時はちょっとしたきっかけでやってきます
たった1分間……長い人生の中ではほんの一瞬
でもこの時がなければ一生話すことがなかったかもしれません
(のおがた未来カフェ発行 ブックレット「大人としゃべり場トーク・フォークダンスで語ろう」より)

「大人としゃべり場 トーク・フォークダンスで語ろう」についてもっと知りたい方へ

「大人としゃべり場」を実際にやってみたい、もっと知りたいとお考えの方には、のおがた未来カフェが作成したブックレット「あなたの街で生まれる素敵な出会い 大人としゃべり場 トーク・フォークダンスで語ろう」がおすすめです。
「大人としゃべり場」/トーク・フォークダンスを実施するためのノウハウがこの一冊に詰まっています。

ブックレットは1冊500円(送料別)で、販売されています。
詳しくは下記をご確認ください。
のおがた未来カフェ

また今後の「大人としゃべり場/トーク・フォークダンスを語ろう」(研究・交流の場)開催予定については、ハンズオン埼玉のWEBサイトにてご確認ください。

林 真未(はやし まみ)

東京都内公立学校教諭
カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター(家族支援職)
特定非営利活動法人手をつなご(子育て支援NPO)理事


家族(子育て)支援者と小学校教員をしています。両方の世界を知る身として、家族は学校を、学校は家族を、もっと理解しあえたらいい、と日々痛感しています。
著書『困ったらここへおいでよ。日常生活支援サポートハウスの奇跡』(東京シューレ出版)
『子どものやる気をどんどん引き出す!低学年担任のためのマジックフレーズ』(明治図書出版)
ブログ「家族支援と子育て支援」:https://flejapan.com/

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