身近な仲間と学ぶ意味
同じ学校の仲間と授業づくりや学級づくり、教育についてざっくばらんに語る会をつくってから9年目に突入しました。これまでの変遷、そして最近新たに加わった仲間の一言からサークルの意味について考えてみました。
佛教大学大学院博士後期課程1年 篠田 裕文
9年前、同じ学校の先生と互いの授業を見合うことからスタートした会。授業後の感想、気づきを話し合う時間がそのままサークルの時間となりました。2歳下の彼の授業を見て最初にした質問を、彼は今でも覚えています。
「自分の背中の後ろにいる子どもたちが何をしているか見えていますか?」
このように私は質問したようです。国語の授業中、一人一人の子どもたちに個別指導する様子を見ての質問だったと私自身は記憶しています。
2人でこっそり始めたサークルですが(互いの授業を見に行くのでこっそりというわけでもないのですが)その様子を見た同学年の先生が加わり、さらに若い先生が加わり5人に。同じ学校の教員同士なので互いに見合った授業、普段の子どもたちの姿がそのままサークルでの話題となっていました。
5人でのサークルも軌道にのってきたころ、大学生が新たにサークルに加わりました。知人から「学びたいという意欲のある学生がいるんだけど、連絡をとってもらえないか」と声をかけられたからです。実際に会ってみると学生の学びへの熱量はすさまじく、ほぼ欠かすことなく参加してくれました。また、学生ボランティアとして私のクラスに入り、そこで感じた気づき、疑問、意見等をサークルでの話題としてくれました。
「私より勉強している後輩がいるんだけどつれてきていいですか?」と、さらに学びの輪も広げてくれました。彼もまた学生ボランティアとして学校現場に入り、そこでの学びをサークルに持ち込んできてくれました(2人ともすぐに採用試験に合格され、現在それぞれの故郷でご活躍されています)。
異動後もサークルは続きます。7人いたメンバーもそれぞれの事情から参加が困難になり、2人しか集まらない日も。それでも細々と続けていると新しい学校でも一緒にやりたいという仲間に出会うことができました。一回りも違う彼の悩み、意見は「そんなこともあったなあ」と自身の過去の振り返りにもつながります。同じ学校にいる利点をいかし授業を見せたり、見たりした内容も話題の一つとなりました。
そして9年目の今年。新たに3人のメンバーを迎えました。1人は向こうから声をかけてくれました。どこかで私のことを聞いたらしく「ぜひ一緒に」と思いを話してくれました。1人はなんと以前担任した子。興味があったらと声をかけたところサークルに。
1人は私から「時々勉強会やっているからよかったらどうぞ」と声かけ。3人のうちの1人、仮にAさんとしましょう。このAさんがサークルに最初に来てくれたときの一言がサークルの意味を再認識させてくれました。Aさんを誘ったものの、参加されるかどうかは不明。「よかったら」ということで参加の有無まで確認していませんでした(来たものでやろうというスタンスのため、出欠の確認は毎回とっていないのです)。
この日は市内にあるとある貸会議室を借りたため、私は早めに行き、1人パチパチと資料を作っていました。足音が聞こえドアを開けるとそこにはAさんが。思わず「よく来たね」と声をかけると間髪入れずAさんが次の一言。
「学びたいんです!!」
サークルがあることが当たり前になっていた私にとって、ハッとさせられる言葉でした。互いの授業を見合うところから始めたサークル。互いの授業から学ぼう、教えてもらおうという気持ちからのスタートだったはず。2人にとって「学びたい!!」という欲求を満たすための、そして「さらに学ぼう!!」という意欲を高めるための時間だったはず。その原点を思い出させてもらいました。
身近な仲間と学ぶ意味、それは「学びたい!!」という思いを仲間と共有し、互いの実践の交流を通してとことん語り合うところにある、9年のサークル活動をふりかえり私は今、そのように思っています。同時に、若い人の持つ「学びたい!!」という気持ちに応える場としての意味も持ち始めているように思います。
新規採用のころから複数のサークルへ行っていた私。あるサークルで先輩から「そろそろ自分でサークルもたないといけないね」と言われました。仲間と2人でスタートしたサークルが9年目を迎え、先輩の言葉の意味も少しずつ自分なりに解釈できるようになってきました。身近な仲間と学ぶ意味、それを考えることが先輩の言葉に込められた意味とも重なってくると思います。身近な仲間との切磋琢磨は最高の学びです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
篠田 裕文(しのだ ひろふみ)
佛教大学大学院博士後期課程1年
修士課程を修了し博士課程に進学しました。修士時代に学んだこと、学校現場で実践したことを書き綴りたいと思います。
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