親子で「中国水墨画」にチャレンジ! 専門学校東洋美術学校と新宿区教育委員会の取り組み
「夏休み、親子で『中国水墨画』にチャレンジしよう!」~専門学校と教育委員会が協力した小学生の親子向け体験講座が大盛況!
東京都新宿区にあるアート&デザイン教育の伝統校、専門学校東洋美術学校と新宿区教育委員会が協力して、小学生親子を対象とした「中国水墨画講座」が開催された。難しそうな中国水墨画を本場中国から招いた先生が教えてくれるというもので、定員を上回る小学生親子が集まり、初めての中国水墨画にチャレンジした。 |
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■専門学校と教育委員会との連携事業 専門学校東洋美術学校は、1946年に創立されたアート&デザイン教育の伝統校で、中でも珍しいのは「中国水墨画科」。この学科は以前より美術教育交流のあった中国の北京中央美術学院より教授陣を招聘して、1988年に日本で初めて開設した学科(開設当時は中国画科)である。 今回、この講座を担当したのは、中国水墨画学科学科長の関乃平先生と、同校卒業生で現在は教える側として活躍している椎名三知子先生の二人で、2日間に渡って行われた。 |
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■親子で「中国水墨画」にチャレンジ! 「そろそろ始めましょうか」と流暢な日本語で関先生。 先生の墨汁の付け方や、筆に含ませる水の量を注意深く観察する。 早速、各自席に戻り、実際に描いてみることに。 「あ、本当の“2”になっちゃった!」描き始めたものの少々困った顔の男の子。 次に、『猫』に挑戦。 見本となる『猫』を見て、「難しそう・・・」 「描けるかな・・・」席に戻って筆を取る。 最後は自由創作。小学生の妹に付き添って参加していた高校生の姉は、するすると鳥を描きあげた。普段からよく絵を描くそうだ。持参した植物などの図鑑を模写するお母さん。小さい熊の置物を描く女の子。みんな、思い思いに描きあげて1日目は終了。 小学4年生の女の子と参加したお父さんは、「子どもの作品を観ていると、どれも独創的で教えてもらうことが多いです。子どもたちの大胆な筆使いは大人にはできない。大人は上手に描こうとするからね」と広げられた作品を前に語った。 また、あるお母さんは、「先生のを見ていると簡単そうなのに、水の含ませ方、筆を動かす速さ、力の入れ方が難しいです」でも、楽しそうに目を細めた。 |
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■どんどん描ける、絵を描くって楽しい! まずは、昨日と同じく関先生が『金魚』のお手本を見せてくれた。2日目とはいえ、先生の筆の動きに「難しい・・・」と苦笑い。思わず、筆を持つ手が止まってしまう。黒い金魚、赤い金魚、水面に浮かぶ水草・・・。涼しげな金魚の絵が完成した。 そして、いよいよ自由創作。 子どもの顔を描いているお母さんは、「一昨年も参加しました。夏休みの宿題で子どもと絵を描きに行くのですが、草花を見て、エンピツでスケッチして、色を塗るのに、考えすぎてしまうんです。その点、中国水墨画はあまり考えすぎずに描けることがいいと思いました」と話してくれた。確かに、何をどのように描いてもよい、失敗もない、みんな思うままに筆を運んでいる。描くのが早い子は、1時間あまりで6、7枚は描きあげてしまう。大胆な筆運びですっと描いて、色をつける。気軽に楽しめてしまうのがこの中国水墨画である。 好きな野球選手の顔を描いた小学校6年生の男の子は、描いた絵を関先生に褒められ、恥ずかしそうに照れながら「自分の想像通りにできた。楽しかった」。また、お母さんは「子どもがこんなに集中している姿は見たことがなく、驚きました」と目を丸くする。 ■「また来年も!」これからも中国水墨画を 2000年以上の歴史を持つ中国水墨画は東洋文化の伝統を理解することができ、4、5歳の小さな子からお年寄りまで年齢・性別を問わず、楽しめることが魅力。また、道具も揃えやすく、取りかかりやすいので自由な発想で作品作りが可能である。筆者も2、3枚試しに描いてみたが、上手かどうかは別として、気負いなく楽しむことができた。以前、この講座を受講した子どもの話を聞いて、近所の小学校が関先生を講師として招き、自由選択科目に中国水墨画の時間を入れたら大勢の子どもたちが希望して来たことがあるという話も頷ける。関先生はもっと多くの人々に中国水墨画の楽しさをわかってもらいたい、そう願っているのだ。 「また来年も参加したい!」そう言って帰る親子を「またいらっしゃい」と見送る関先生。参加者たちは2日間という短い間でも中国水墨画の楽しさを実感し、来年もきっとこの教室に集うことだろう。 (取材・構成:学びの場.com)
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■関連リンク 専門学校東洋美術学校 http://www.to-bi.ac.jp/ |
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