2020.05.01
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休校中の子どもたちへ Let's 理科読!『ガリレオ工房の科学あそびエコCO²編』ほか(その1)

学校が休校になって、授業というスタイルではない学びに一人一人が工夫して取り組む毎日です。
理科読は、科学的な見方・考え方を練習する学びです。家にいてできる理科読を紹介します。(公共図書館も学校図書館も閉館中の事態を勘案し、電子書籍を含む販売で現在手に入る本でプログラムしました。)
その1のテーマは地球です。

その1「考える練習」をしよう

CO²とは何だろうを学ぶ、家庭でできる実験をマンガで紹介

『ガリレオ工房の科学あそびエコCO²編』

環境問題の議論によくCO2(二酸化炭素)のことが取り上げられますが、ものが燃えると二酸化炭素が出ることと、生き物が呼吸をすると二酸化炭素が出ることは小学校で別々に学びます。この本は小学校・中学校で学ぶ二酸化炭素のことをおよそ網羅して学べ、順に読んで実験もしていくと、二酸化炭素がどんなものなのかについての全体像が次第にわかるようになります。読んでいる途中で、自分で実験や観察をして確かめたり、自分だったらこう説明するのになあと考えたり、寄り道をたくさんしながら本を読んでも良いのです。家庭にあるものを使ってできる実験がたくさんのっています。大人と一緒に安全に気を付けて実験してください。

実験をして読み進んでいくと、今まで知っていたあれはこのことだったか、と離れ離れだった知識や経験が結びついて「あ、そうか!」と思うことがでてきたり、「これもそのことかも」と新しく自分の考えができたりする瞬間があります。それにはある程度何度も回数を重ねたり、ケースを積むことが必要です。書いてある通りに実験したのに、上手くいかないというとき、上手くいくためにはどうしたらいいのかな?と考えて何度も工夫を重ねて実験してみてください。もっとうまく、もっとスマートな実験はないかな?と考えるのもとてもいいですね。比較的自分で時間を組める今は、一つのことを深く掘り下げたり、広く広く自由に寄り道をすることができるときです。科学の考え方を身につけてチャレンジしてください。

編著:滝川洋二・土井美香子・伊知地国夫
出版:実教出版
定価:1,000円+税
判型:四六判 144ページ
発行:2012年

おしゃれなイラストとルビ付き文章で地球の組成と循環を学ぶ

『プラネットアースーイラストで学ぶ生態系のしくみ』

『ガリレオ工房の科学あそびCO²編』を読んでいくと、炭素が地球上で循環していることがわかります。炭素ばかりではありません。大気のなかの酸素も水素も窒素も、いろいろな元素・物質・生き物が大きな循環の中にあるのです。

この『プラネットアース―イラストで学ぶ生態系のしくみ』はおしゃれなイラストで、生物たちがそれぞれ関係しあって今ある姿になっていることや、その間にたくさんの元素の循環があることが書かれています。文章は小学校5年生以上の主な漢字にルビがふってありますので、中学生ならひとりで読み進めていくことができるでしょう。小学校低学年なら、親子で一緒に読んでほしい本です。本には北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカ大陸、オーストラレイシア、極地方の氷床と主に陸地で大別した生態系と水圏の生態系が出てきます。出てくる世界の各地の様子が書かれた他の本も読むと、社会と理科が深いかかわりを持っていることがわかるでしょう。

著:レイチェル・イグノトフスキー 監訳:山室真澄 訳:東辻千枝子
出版:創元社
定価:3,000円+税
判型:A4判変型・128ページ
発行:2019年

小学校低学年から何度も読み返せる

『石はなにからできている』

この本を読んで、近所の道や庭の石を観察しましょう。(石を拾うために外出するのは、今はやめてください。)『ガリレオ工房の科学あそびエコCO²編』の72ページから77ページのガリレオ博士の特別講義「炭素はどうやって石になるか」を読んで、見つけたその石はどうやってできた石なのかな?と考えましょう。考えるための材料として、まずは表面をルーペでよく見たり、水を少したらして色がかわるのを観察しましょう。手のひらに乗る程度の石なら、重さを量ってみましょう。同じような大きさでも意外と重さが違うことに気が付くでしょう。それから石を割って中を見たり、どんな粒粒からできている石なのかを見ましょう。今はスマホのカメラ機能を使って拡大して見ることもできます。スマホのカメラレンズにつけると100倍まで拡大できるルーペも1000円から2000円程度で売っています。

割ってみると、とても固い石もあれば、すぐ割れてしまうもろい石もあります。全部同じ色の粒粒からできている石もあれば、いろいろな色の粒粒が混じっている石もあります。この本の巻末にある石の仲間の見分け表で仲間分けしてみたり、図鑑で調べてみたりするのも、探偵になった気分です。名前がよくわからないことも多くあります。そんな時は、いつどこで拾ったのかを記録して、置いておきましょう。もっと別のことを学んだあとにわかることもたくさんあるからです。

文:西村寿雄 写真:武田晋一 構成:ボコヤマクリタ
出版:岩崎書店
定価:1,600円+税
判型:A4変・32ページ
発行:2018年

原子分子のことを学んだ中学生高校生なら

『三つの石で地球がわかるー岩石がひもとくこの星のなりたち』

やさしくて面白い科学の本(絵本も含みます)は大人が読んでもとても面白い本です。『石はなにからできている?』の巻末の解説に、地球の石は、酸素とケイ素が手を組んだものがもとになっているとあります。それってどういうことでしょう?石とは何か?地球が生まれたいつから石ができたのか?石の本が読みたくなります。そこでこの本をおすすめします。この本には岩石の組成はケイ素がキーパーソンとあります。そして、私たちの足元の固い石は、なんと、どんどん変化していき、その変遷が地球の変遷の歴史だというのです。

さあ、一冊の本を手掛かりに、疑問に思ったことをもっと知るために他の本を読んだり、実験をして確かめたりするうちに、気体の二酸化炭素のことから始まって、固体の石のこと、地球の成り立ちのことまでどんどん考えていくことになりました。二酸化炭素から始まって、生き物のことを考えていく道や宇宙のことを考える道もあるでしょう。どんな道へ進んでいくかは自由です。どんな本を読んでどんなことを考えたか(感じたかではありません!)のメモを記録しておくと、役に立ちます。

著:藤岡換太郎
出版:講談社
定価:920円+税
判型:新書・224ページ
発行:2017年

その1「考える練習」をしようでは、4冊紹介しました。その2もお楽しみに!

構成・文:ガリレオ工房 土井美香子

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