2008.05.06
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『子どもを信じる』とは - 子どもの嘘 -

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー 高柳 新

学校を舞台にしたテレビドラマで、熱血先生が、周りの生徒から嘘つきだと言われた生徒に対して、
「私はこの子の言葉を信じます。どうしてみんなは信じてあげられないの。」
と言って、その生徒の疑いを晴らすような物語がよくあります。私もそんなドラマを見ると、けっこう感動することが多いのですが、やはり現実とのギャップも感じます。それは、実際の教師であれば、誰もが感じることなのではないでしょうか。
 実際、私自身、子どもの嘘のために振り回された経験は何度もあります。子どもの嘘をその親が鵜呑みにして、教育委員会に訴えられそうになったことや、周りの子どもが嘘をついていたために、いじめの問題がこじれてしまったこともあります。そのときの状況によって、どんな優秀な子どもでも嘘をつく可能性があります。
「絶対に嘘はつくなと、うちの子を育てている。」
という厳しい父親の子が、その父親に怒られたくなくて嘘をつき続けていたこともありました。

一所懸命にやっていればいるほど、子どもに嘘をつかれるダメージは大きいものです。腹立たしいと思うこともあるでしょう。私もそう感じた時期がありました。とくに、心に余裕のないときほどそうでした。しかし、経験を積むことによって、少しずつですが、一歩離れた所から冷静に見られるようになりました。なぜ、子どもが嘘をついてしまったのか、そしてその対処は正しかったのか、などを考えられるようになったのですね。

 子どもは、何の理由もなしには嘘はつきません。親や教師に必要なことは、嘘をつく原因をわかってやれることなのだと思います。それがわかれば、よりよい対処もできるはずです。『子どもを信じる』ということは、その子どもの言うことをすべて信じるということではなく、『この子は正しく育つ子である』ということを信じることなのだと思います。それを信じていれば、愛情のある真の教育につながるはずです。そして、そんな教育ができれば、やがて子どもは嘘をつかなくなると思いませんか。

高柳 新(たかやなぎ はじめ)

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。

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