2008.03.11
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今の子どもたちは…、自分たちのときは…。

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー 高柳 新

「今の子どもたちって、○○だ。」
というように、今の子どもたちをひとまとめにしてしまうことがありませんか。でも、本当にそうなのでしょうか。

「今の子どもって、物怖じしないから平気で外人とも話せるんだよな。」
という言葉にまわりの大人たちが納得していたことがあります。
「今の子どもは自分一人じゃ何もできない。」
という言葉もよく聞くような気がします。しかし、この二つの言葉は全く逆のことを言っています。これは、何人かの行動を見て、すべての子どもがそうだと言っているために、まったく違った見方になるわけですね。
 当たり前のことですが、子どもの性格や行動は千差万別です。私の子どもの時だって物怖じせず、一人でも積極的に行動していた子もいたし、今だって引っ込み思案な子どもはたくさんいるでしょう。「今の子どもたちって、○○だ。」という言葉には、真実を隠してしまう危険な面があるように思うのです。

「今の子は携帯電話でいじめをするんだろう。自分たちのときは、今のいじめみたいに陰湿じゃなかったよなぁ。」
これと同じような言葉を聞いたことはありませんか。実は、私はこんな言葉を聞くと憤りを感じるのです。私の子どもの時代には携帯電話はありませんでしたから、当然、それがいじめの道具にはなりません。しかし、もしあったなら、いじめの道具として使用されなかったとは思いません。第一、いじめられる方にとっては、『さわやかないじめ』などあるはずがありません。いじめはそもそも陰湿なものです。大人の自分たちのときはよくて、今の子どもは悪いという安易な考え方にこそ、問題があるのではないでしょうか。
時代や環境の変化によって、子どもの行動様式も変化するのは当然のことです。でも、子どもの本質はほとんど変化していないように思います。

私は、教育に携わる人間、教育に影響力のある人間には上記のような言葉を使ってほしくありません。子どもたちの真実の姿を見ることのできる目を持った人、そして子どもたちの未来をしっかり見据えることのできる人こそ、真の教育者であるはずです。

高柳 新(たかやなぎ はじめ)

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。

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