2008.02.26
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女性の言葉遣いから感じた危機感

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー 高柳 新

これから書くことは、今年になって、私が実際にその場に居合わせ、聞いた言葉です。

 「おめぇ、いつまでそうしてんだよ。いつまでもやってると、殺すぞ! 」
これは、スーパーマーケットで、買ってほしいおかしの前で寝ころんでだだをこねている4歳くらいの子どもに、その子のお母さんらしき人が叫んだ言葉。衝撃的でした。

 「あの1年生の子、マジ、むかつく。ぜったい、先輩と締めてやるんだ。」
これは、ファミリーレストランで中学2年生らしい女の子が椅子の上にあぐらをかいて、両親と思われる二人に話していた言葉。そんな話を両親は普通に聞いていました。あぐら以外はその女の子も両親も、一見、ごく普通の人たちにしか見えませんでした。

 「ふざけんじぁねえよ。送っていけよなぁ、馬鹿。ほんと、ありえねぇよ。」
これは駅前のデパートから出てきた二十歳くらいの若いカップル。男性の方はこの後に仕事場に行かなければならないらしく、「今日は送れない、ごめん。」と謝った後の女性の言葉です。この言葉を発する前の女性は、私の目にはどちらかといえば清楚な感じに見えていたので、本当に驚きました。少し前までは、仲間内だけの言葉遣いが、それ以外の相手にも平気で遣われ出しているということです。

 ここ、20年くらいで、若者たちの平均的な言葉遣いは本当に悪くなりました。男性はもちろん、とくに中学、高校の女生徒では、電車内などでの会話からも、それが顕著に進行していると思います。上記の最初のお母さんの例は特別なものだと思いますが、残りの2つはそれほど特別な例ではないような気さえしてきます。言葉遣いと実際の行動は多くの部分で重なります。上記の例のお母さんや女の子たちが、本当は、いつも相手を思いやる優しい行動をとっているとは考えにくいことです。

 私は、女性は言葉遣いが乱れていくのを防ぐ、防波堤になってきたと思っています。男女差別のつもりは全くありませんが、『女の子は汚い言葉を遣ってはいけません。』という躾は、実際には男性の言葉遣いの乱れまで抑制していた部分もあったのではないでしょうか。それが今の社会の風潮の中でどんどん崩れてきているのはまちがいのない事実です。これは、テレビや漫画、雑誌などの影響が大きいと私は考えます。少なくとも、中高生に人気のある漫画、テレビの視聴率の高いバラエティ番組、お笑い番組などでは、そんな言葉遣いのオンパレードです。

 残念ながら、この問題を学校教育だけのせいにしていたら、この流れを止めるのは無理でしょう。社会全体が問題意識を持ち、何らかの大きな力が生まれない限りは…。

 私は危機感を持っています。

高柳 新(たかやなぎ はじめ)

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。

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