先生方は、より良い授業をするために、そしてより良い学校行事を行うために日夜努力されていると思います。方法を研究し、結果を評価して次に生かす。子どもたちのために力を尽くしている実感も持っていることでしょう。しかし、それに自信があればあるほど、子どもがそれに参加しないとき、不愉快になることはありませんか。普通の授業日ならまだしも、林間学校や運動会の日だったら、なおさらでしょう。病気や仕方のない事態で子どもが欠席する場合は当然のことであると考えますが、欠席理由が家族旅行や学校外の活動である場合は同じような気持ちでいられますか。
「何をおいても学校を優先する。」という考えの保護者は少なくなりました。毎日ある授業なのだから、たまの家族旅行や取り組んでいる活動の大切な日ならそれを優先するのは当然である、という保護者が少数ではなくなってきました。保護者側の価値感の多様化はどんどん進んでいます。
私の知り合いのAさん(自分で築いた会社の社長さん、娘さんは小学5年生)は、夏休みに2週間、娘を一人でアメリカに行かせました。向こうの知り合いがその期間なら娘さんを預かってくれるということで決めたのですが、実は同じ期間に林間学校があったのです。Aさんは林間学校より、アメリカに行かせる方が価値があると考えたわけです。担任からは林間学校に参加するよう説得されたそうですが、娘さんもアメリカ行きを選びました。そして、夏休みが終わったとき、Aさんが憤慨しながら、私にこういったのです。
「娘の担任がとんでもないんだ。娘がクラスの子たちにアメリカ土産を配ろうとしたら怒られたっていうし、先生にアメリカの話をしようとしても、満足に聞いちゃくれないそうなんだ。林間学校に行かなかったのがそんなにおもしろくないのかねぇ。熱心な先生だと思っていたが、ほんとに了見が狭いっていうのはこのことだ。」
私はAさんに、担任が林間学校をどれだけ重視して考えているか、また、担任がどれだけクラスの子どもを大切に思っているかを伝えておきました。
もちろん、この担任の先生はAさんが考えているように了見が狭いとか、Aさんの娘さんに辛くあたっているということはないでしょう。でも、林間学校に参加せず、アメリカ土産を得意そうに配ろうとしていた娘さんを見て、いい気持ちでなかったことは想像できます。私が現役の時でもそうだったと思います。しかし、本当に公平な立場から見れば、アメリカでの生活を経験したことの方が価値が高かったかもしれません。この例以外にも、何日かの授業より価値のある体験はあるはずです。
子どもにとって価値のある体験のチャンスがあるときに、その価値をしっかりと捉え、快く送り出してやることも担任の大切な役目ではないでしょうか。結果として、そうすることで、子どもや保護者との信頼関係も築くことにも繋がるはずです。
現役を離れた今、そう思うのです。
「何をおいても学校を優先する。」という考えの保護者は少なくなりました。毎日ある授業なのだから、たまの家族旅行や取り組んでいる活動の大切な日ならそれを優先するのは当然である、という保護者が少数ではなくなってきました。保護者側の価値感の多様化はどんどん進んでいます。
私の知り合いのAさん(自分で築いた会社の社長さん、娘さんは小学5年生)は、夏休みに2週間、娘を一人でアメリカに行かせました。向こうの知り合いがその期間なら娘さんを預かってくれるということで決めたのですが、実は同じ期間に林間学校があったのです。Aさんは林間学校より、アメリカに行かせる方が価値があると考えたわけです。担任からは林間学校に参加するよう説得されたそうですが、娘さんもアメリカ行きを選びました。そして、夏休みが終わったとき、Aさんが憤慨しながら、私にこういったのです。
「娘の担任がとんでもないんだ。娘がクラスの子たちにアメリカ土産を配ろうとしたら怒られたっていうし、先生にアメリカの話をしようとしても、満足に聞いちゃくれないそうなんだ。林間学校に行かなかったのがそんなにおもしろくないのかねぇ。熱心な先生だと思っていたが、ほんとに了見が狭いっていうのはこのことだ。」
私はAさんに、担任が林間学校をどれだけ重視して考えているか、また、担任がどれだけクラスの子どもを大切に思っているかを伝えておきました。
もちろん、この担任の先生はAさんが考えているように了見が狭いとか、Aさんの娘さんに辛くあたっているということはないでしょう。でも、林間学校に参加せず、アメリカ土産を得意そうに配ろうとしていた娘さんを見て、いい気持ちでなかったことは想像できます。私が現役の時でもそうだったと思います。しかし、本当に公平な立場から見れば、アメリカでの生活を経験したことの方が価値が高かったかもしれません。この例以外にも、何日かの授業より価値のある体験はあるはずです。
子どもにとって価値のある体験のチャンスがあるときに、その価値をしっかりと捉え、快く送り出してやることも担任の大切な役目ではないでしょうか。結果として、そうすることで、子どもや保護者との信頼関係も築くことにも繋がるはずです。
現役を離れた今、そう思うのです。
高柳 新(たかやなぎ はじめ)
欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。
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